この特別企画列車は、今年5月9〜14日の「メンタルヘルス・アウェアネスウィーク」に合わせ、5月7日土曜日の1回限りで運行されたもの。
ロンドンのキングズクロス駅からリンカーン駅までの約2時間20分を単なる「移動時間」でやりすごす代わりに、気分転換と精神啓発に役立ててほしい、そんなもくろみから、専門家グループによる「ムードブースター(よりよい雰囲気や気分を作る)・アクティビティー」の数々が車内開催された。
結果は大成功。体験者たちからやんやの喝采が送られるうちに幕を閉じたようだ。
「乗車賃」は1アクティビティ付き約8000円
ウェルネス列車の「乗車賃」は、1アクティビティにつき50ポンド(約8140円)。ここには、手作りの「グッディバッグ」と、アクティビティごとの客車に設けられた座席、そしてそれぞれのアクティビティに必要な材料が含まれた。
行動療法士でTVプレゼンターのアナ・リチャードソンに心の癒しをサポートしてもらったり、折り紙を教わったりグループで編み物をしたり。日常から放たれた列車の旅を、めいめいの乗客が楽しんだ。
当日のプログラムは以下の通り。
・折り紙
・手編みのハンドウォーマー作り
・壁掛けのマクラメ(蝋引き紐を使った工芸作品)作り
・ゲーム(モノポリーなど)やパズル
・マインドフルネスのためのドゥードゥルアート
・セラピーと催眠、ヨガ
・TVプレゼンターアナ・リチャードソンとのリラクゼーションセッション
・インククイジティブ(イラストの一種)を描くアートセッション
・「フィットネスとウェルビーイング」についてのマインドコーチ ジェームズ・ミドルトンとのQ&Aセッション
「初めてのマクラメ作りに挑戦する」という50代の男性もいた。以下、当日の参加者の声から引用しよう。
「まずは、客室内のテンションが最高!こんなにいい企画はない」「列車に揺られながら車窓を眺める時間は心にゆとりのスペースを生むし、自分のことに集中できる絶好の環境だと思う」「列車に揺られているとストレスから解放されるのを感じる。精神浄化作用があるし、リラックスできる時間だった」「列車の旅が全部こんなふうだといい」
運行前のコメントで、同列車の企画者は「Azuma(LNERの新車両)に乗ったままでマインドフルなアクティビティを楽しみ、無二の経験を楽しんでもらいたい」と話していた。
さて、日本でも近将来、同じような試みが実現する日は来るだろうか?