世界経済フォーラム(WEF)、「年次総会2022」のアジェンダからご紹介します。
・電動自転車や電動キックボードなどのマイクロモビリティは、静かでクリーン、そしてファーストマイルとラストマイルの問題を解決できる移動手段ですが、その普及は現時点ではいまひとつ進んでいません。
・最近の調査によると、マイクロモビリティ利用者の55%が徒歩や公共交通機関の代わりにマイクロモビリティを利用していると回答。そのメリットが十分に活用されていないことが明らかになっています。
・本当の意味での住みやすい街を目指すには、マイクロモビリティを競合するものではなく、公共交通システムの一部として機能させる必要があります。
電動自転車や電動キックボードなどのマイクロモビリティには、楽しみながらあちこちに移動できること以外にもさまざまなメリットがあります。
交通渋滞、排出ガス、騒音という街を悩ます問題を軽減する役割が期待できるほか、ファーストマイルとラストマイルという交通アクセス問題に対して非常に現実的な解決策になるのです。
そのマイクロモビリティを広く普及させるためには、その利用者と非利用者の状況について、さらにはその両者のニーズについて、理解をより深めていく必要があります。
利用者の特徴と利用する理由
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)とUniversity of St. Gallen(ザンクトガレン大学)は先ごろ、ヨーロッパ、中国、日本、米国の23の大都市圏に住む11400人を対象に共同調査プロジェクトを実施。その結果、以下の事実が明らかになりました。
・マイクロモビリティ利用者の42%はレジャー活動に、39%は通勤・通学に、36%はその他の用事にマイクロモビリティを利用。
・回答者の30%以上は少なくとも週に数回、自転車を利用。また、回答者の20%は月に数回、自転車を利用。
・所得水準が高いほど、マイクロモビリティ利用率も高くなっている。
・低所得者層では、総じてマイクロモビリティ利用率が低くなっている。マイクロモビリティを利用しているか否かの要因としては、コストや文化が挙げられ、また一部の都市圏では、単純に都心以外では利用できる環境が整備されていないことがマイクロモビリティを利用していない最大の理由となっている。
マイクロモビリティを利用する理由として上位に選ばれたのは、「フレキシブルに使える」「使い勝手が良い」「無理なく買える価格である」「暮らしている街の天候が安定している」「安全に利用できる環境が整備されている」「移動時間を短縮できる」でした。また、これらの理由はどれも、利用者からはほぼ同じくらい重要だと考えられています。