テクノロジー

2022.08.12 08:30

クリーンで静かな「マイクロモビリティ」の普及に必要なこと


フランスとドイツで圧倒的に多く選ばれたのは「使い勝手が良い」。スイスでは「フレキシブルに使える」が最も多く選ばれました。一方、米国では「暮らしている街の天候が安定している」と「安全に利用できる環境が整備されている」が最も多く選ばれています。

マイクロモビリティの利用を躊躇する最大の理由は、調査対象者の44%が回答した「暮らしている街の天候が悪い」。次に多かったのが「価格が高すぎる」で、36%が回答しました。以下「利用できる環境が十分に整備されていない」「貸出や返却ができるポートが少ない」と続いており、それぞれ対象者の35%と34%が回答しています。


国ごとに見るマイクロモビリティの利用率

マイクロモビリティの利用率を種類別にみると、都市部において圧倒的に利用率が高いのはやはり自転車でした。中国でも自転車の利用率は2番目に高く、電動バイクに次ぐ人気を誇っています。中国の都市部では、すべての種類のマイクロモビリティが他のどの国の都市部よりも頻繁に利用されています。

フランスでは、電動キックボードの利用率がヨーロッパの中で最も高くなっています。いくつかの国では電動自転車の利用率が増加していることもわかりました。

マイクロモビリティへの代替がもたらす弊害


新型コロナウイルスのパンデミックは社会に大きな変化をもたらしましたが、そのひとつとして挙げられるのが個人の安全と健康の重要性を再認識したことです。その意味では、2年間に及ぶパンデミックがマイクロモビリティの利用増加を促したといえるでしょう。

パンデミック後の全体的な人の移動量は以前と比べて10%減少したままの状態ですが、燃料費の高騰や社会での環境意識の高まりから、マイクロモビリティは変わらず移動手段として魅力的な選択肢となっています。

ただし、それは必ずしも良いことではありません。代替の移動手段としてマイクロモビリティを選ぶことは、たとえ環境を意識した行動であっても実際には想定外の結果を招くこともあるのです。

自家用車の代わりとしてマイクロモビリティを「よくまたは非常によく利用する」と回答したのはマイクロモビリティ利用者の32%にとどまりました。一方、徒歩や公共交通機関の代わりとしてマイクロモビリティを利用すると回答したのはそれよりも多く、55%にのぼりました。これはすなわち、代替の交通手段としてのマイクロモビリティの効果はせいぜい「可もなく不可もなく」といったところであることを意味します。
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文=Nikolaus Lang Andreas Herrmann

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