DDMゲームズ・インベストメント・レビューによると、投資家は第2四半期に前四半期比37%増の217案件に48億ドル(約6480億円)を投じ、同四半期行われたM&A59件の取引額は前四半期比135%増で186億ドル(約2兆5100億円)を超えたという。
「今年第2四半期は217件の投資があり、第2四半期としては最も多く、過去13年超で3番目に多い四半期となった。また、3四半期連続で件数が200件を超えている」と報告書にはある。
とはいえ、1600億ドル(約21兆5900億円)と巨大で活発なビデオゲーム分野の取引にも減速の兆しがあると報告書は指摘する。
今年の上半期は取引件数が多かったものの、巨大な額が取引された昨年上半期と比べると、1件当たりの取引額はかなり少ない傾向にあった。新型コロナウイルス感染症によるロックダウン(都市封鎖)を経た業界の昨年上半期の投資額は255億ドル(約3兆4405億円)で、さらにM&Aの取引額は285億ドル(約3兆8450億円)にのぼった。IPOも同様に16件の取引で844億ドル(約11兆3875億円)を突破した。
「昨年上半期と比較すると、今年上半期の投資は半分を上回る程度、M&Aは7%強減少し、IPOは崩壊している」と報告書にはある。しかし投資額は33%増で、M&Aは2021年の驚異的なペースを保っているという。
今年第2四半期の最大の投資は、ソニーがKIRKBIとともにEpic Gamesに計20億ドル(約2700億円)を出資した件だった。Epic Gamesはバトルロイヤルのゲーム『フォートナイト』のメーカーで、映画やテレビ、ストリーミングビデオのバーチャル作品、ゲームやBR / メタバース体験の構築などに広く採用されているゲームエンジン「Unreal Engine」を提供している。ソニーとKIRKBIの投資によりEpicの評価額は315億ドル(約4兆2500億円)となった。
今年第2四半期は、3四半期連続で投資件数が200件を超えた。これは、経済情勢が悪化し、株式市場と暗号資産(仮想通貨)の両方が大幅に下落する中でも、大口投資家が引き続きこの分野に関心を寄せていることを示唆している。この部門への最大の投資家には香港のAnimoca Brandsやサウジアラビア公共投資基金が含まれる。同基金はサウジがあらゆる種のエンターテインメントを幅広く推進する一翼を担っている。
今四半期のM&Aは、米Take-Two Interactiveによる127億ドル(約1兆7135億円)でのモバイルパブリッシャーZyngaの買収と、ブロックチェーンベースのゲーム、テクノロジー、プラットフォームなどの成長分野における小規模な取引により大幅に増加した。