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2022.08.08 09:30

ゲーム業界のM&Aと投資は第2四半期も好調 しかし景気低迷でIPOは崩壊


M&Aの取引金額には大型案件は含まれていない。マイクロソフトの690億ドル(約9兆3100億円)での大手パブリッシャーActivision Blizzarの買収計画は今年初めに発表された。マイクロソフトの直近の四半期決算発表によると、この買収は当局が審査中だが来年上半期に完了する予定だ。

成長していない部門もある。ひとつはIPOだ。景気が後退する中で経済全体が縮小している。

「第1四半期と第2四半期はそれぞれ3社がIPOを行い、コロナ前の水準に戻ったが、これらはすべて小さな会社だったため時価総額は大幅に減少している」とDDMは書いている。

ブロックチェーンベースのゲーム会社では、投資は「鈍化しているが、依然として堅調」だ。Axie Infinityなどブロックチェーンベースのゲームは急速に成長し、多くの投資家の関心を集めた。

しかし、いわゆる「遊んで稼ぐ(P2E)」の仕組みを使ったタイトルの多くは、ゲーム界の一部で人気であると同時に物議も醸している。ただ、投資家は依然としてこの分野を好んでいて、DDMによると投資家の資金はこの四半期の投資全体の大部分(超大型のソニー・BIRKBI・Epicの取引を除いた場合は44%)を占めているという。

特に注目すべきは、ブロックチェーンスタートアップが従来の株式投資とは異なる戦術で費用を調達する斬新な方法だと報告書は指摘している。トークンのリリース、NFT(非代替性トークン)公開、そして同様のデジタルコンポーネントやキャンペーンを活用し、プレイヤーが購入することでわずかな所有権やその他のゲーム内の特典を得られるようなものが増えている。

「ゲームプロジェクトにP2Eの仕組み、トークン、NFTを組み込んでいる企業が引き続き投資を促進していることは明らかだ」と報告書にはある。「そうした取引の多様な性質と株式、トークンおよび / またはNFTの提供は、ゲーム会社の投資調達方法を変え、初期段階の資金調達を容易にした」と指摘している。

モバイルパブリッシャーのJam Cityがブロックチェーンベースの新しい開発部門の一部として昨年末に『Champions:Ascension』を発表したことは、こうしたトレンドを示している。同社は1万のChampionsのNFTをファンに販売した。ファンはいずれ発売されるゲームの伝承と方向性を形成するのに貢献する権利を得ることになる。

調査方法についてDDMは、投資総額を算出する際、投資を受ける企業の結果としての帰属価値ではなく投資価値を使用しているため、他の調査結果と異なる可能性があると述べている。

翻訳=溝口慈子

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