ウーバーの好業績からは米国人の旅行や移動の需要が強いことがうかがわれ、こうした背景から同業のリフトやホテル運営のマリオットやヒルトンの株価も上昇している。
ウーバーの4〜6月期の売上高は前年同期比2倍超の81億ドル(約1兆760億円)となり、市場予想の74億ドルを上回った。グロスブッキングは前年同期比33%増の291億ドル(約3兆8700億円)と過去最高を記録した。
最終利益は保有株の評価損として17億ドルを計上したことなどが響き26億ドル(約3450億円)の赤字だったものの、キャッシュフローは3億8200万ドル(約508億円)と四半期ベースで初の黒字に転換した。
ダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は決算発表後の電話会議で、西海岸などの一部都市では回復が「まだ遅れている」と認める一方、需要は今年後半にかけて引き続き向上していくとの見方を示した。4〜6月期の配車や宅配のトリップ数(利用数)は前年同期比で24%増、2019年同期比では12%増となり、過去最高水準に戻ってきていると説明した。
ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブスはウーバーの決算発表後に出した顧客向けリポートで、予想よりも驚くほど好調だった今回の業績について、旅行の回復やオフィス勤務に戻る人の増加などによって、ウーバーが米国や欧州でのインフレ圧力や一部の都市で続くドライバー不足を乗り切り、利益を生み出せる良い前兆だと解説した。
バイタル・ナレッジ・メディアのアナリスト、アダム・クリサフリは、ウーバーの配車事業の復調はライバルのリフトにとっても良い兆候に違いないとコメント。旅行の回復によってマリオットやヒルトンも第2四半期に「素晴らしい」業績をあげているとも言及した。
決算発表を受けて、2日前場の取引でウーバーの株価は一時、前日終値比14%高の28.20ドルをつけた。また、4日に決算発表を予定するリフトの株価もこの日13%の大幅高を演じた。マリオットとヒルトンの株価も過去1カ月に、S&P500種株価指数の上昇率(約10%)を上回る15%ほどの上昇を記録している。
新型コロナの影響で下落した運輸・レジャー銘柄は昨年、旅行需要が力強い回復をみせたことで大幅に反発したが、今年に入り物価高やリセッション懸念による打撃が特に大きくなっていた。ウーバーの株価も年初来36%下落しており、下落幅はS&P500の約15%を大きく上回っている。
しかし、ここへきて市場はウーバーの株価は好転していくと見込んでおり、アナリスト約50人の目標株価の平均は足元の水準より70%超高い約48ドルとなっている。