ゼミ生は同校中学2年生と3年生の有志50名。オイシックス・ラ・大地と共同で、約半年間にわたる全7回の授業を通して「アップサイクル商品」を開発する。食材の選定、商品のネーミングやパッケージのイメージ、そしてマーケティングプランまでを生徒たちが提案するのだ。
開発された商品は10月頃に、オイシックス・ラ・大地定期会員のほか、一般消費者向けにも販売が開始される予定だ。なおオイシックス・ラ・大地は2021年、これまで捨てられていたものに付加価値をつけて、新しい商品にアップグレードさせる「アップサイクル商品」のブランド「Upcycle by Oisix」を立ち上げている。
生徒たちの提案にもとづく商品にアドバイスをする長谷川在佑氏も、持続可能なガストロノミーを積極的かつ情熱的に実践するレストランに対して贈られる「ミシュラングリーンスター」に認証されているシェフである。
そして、7月に著書『「メンズビオレ」を売る進学校のしかけ』も上梓した同校校長の青田泰明氏自身が、2021年年末から校内での使用電力の全てを太陽光発電に切り替える決断をするなど、SDGsアクションに積極的な教育者の1人だ。
前編はこちら> 「校内は太陽光発電」の進学校、Oisix/ミシュラン星付シェフと商品開発
第3回ゼミでゼミ生たちが実食
6月27日、青稜中学校で行われた第3回ゼミを実際にのぞいてみた。いよいよ、3商品のうちの「そうめん」「ハンバーグ」を生徒たちが試食する回である。
昆布の根元を乾燥させ、パウダー状にしてそうめんの生地にミキシングして練り込み、それを細い棒状に伸ばしたものを茹でた「昆布そうめん」を、10のグループに分かれたゼミ生たちが実際に試食した。つけだれは、「煮干し香る醤油だれ」、「野菜ブイヨン」、「白だし」、「鶏ガラスープ」、「ごま味噌だれ」の5種だ。
生徒たちからは、「そうめんは思ったよりザ・昆布という感じはないが、おいしい」「『白だし』は薄めな印象」「話題性を考えると、『ごま味噌だれ』がユニークで売れそう」「なんといっても『鶏ガラスープ』がおいしい」「いや、何もつけないのが一番おいしい」など、さまざまな感想が発表された。
記者も実食。もちもちした食感が印象的で、生クリームベースなど、もったりした洋風ソースとの相性もよさそうと感じた。そして、知らなければ「昆布」とは特定が難しいものの、うっすらと舌に残るコクに一般のそうめんでは味わえない魅力があった。また、ソースでなく粗塩をちょんとつけて食せば、さらりとした日本酒などに合いそうだ。
もう1種、「キノコの軸」から作ったハンバーグの生地は、豆腐ときのこの軸を細かくして練り合わせたものだ。これを、「照り焼きソース」と「和風おろしソース」で試食する。
「キノコの軸」から作られた豆腐ハンバーグを試食する
生徒たちからは、「老若男女に好かれそうだから、和風おろしソースがいい」「なんといっても子どもには照り焼きソースだと思う」と、食べ手を想定したマーケティング的な感想も次々に飛び出した。
記者の実食感想は、淡白な商品なので、照り焼きソースだと「ソースのおいしさ」ばかりが際立つ印象。一方の和風おろしソースだとキノコの出汁がほんのり味わえ、それなりに美味と感じた。
ゼミ生たちの間を巡視し、声をかけていく青田泰明校長(第3回ゼミで)