こうした好調な実績は、過去40年間なかったほどの強烈なインフレ圧力の中でもたらされたものだ。実際、2022年6月に米国で行われたある調査によると、「インフレの影響で外食を減らしている」と答えた消費者の割合は8割以上に達している。
マクドナルドの幹部たちも、顧客たちのあいだで、今まで買っていたものより安い商品を選ぶトレードダウン行動が起きていることは認めている。具体的には、低所得層の消費者が、よりお得なメニューを選び、セットメニューの注文を控えるようになっている。しかしマクドナルドは、一部の同業者とは異なり、お得なイメージを保つため、比較的小幅な値上げを頻繁に行う戦略を採用している。
「(こうしたアプローチにより)柔軟性が得られているため、消費者の反応を見極め、必要であれば適切なタイミングで調整することが可能になる」と、退任予定のケビン・オザン最高財務責任者(CFO)は述べた。
同社のクリス・ケンプチンスキー最高経営責任者(CEO)は、「価格に見合う価値」といった指標で、マクドナルドは今でも高い水準を維持している点を指摘した。ゆえに、トレードダウンを行う消費者のあいだでは、自炊よりもマクドナルドのメニューを選ぶといった動きが生まれ、これがかえって同社にとって有利に働く可能性が高い。食料品の値上がりのペースは、レストランのメニューの価格上昇率を3%近く上回っているからだ。
さらに、マクドナルドがデジタルに注力することで、消費者が同ブランドに感じるお得なイメージはさらに増すとみられる。そうしたデジタル施策の一つが、2021年に全米で導入されて好評を博している、アプリによるポイント還元プログラム「マイ・マクドナルド・リワーズ(MyMcDonald’s Rewards)」だ。
第2四半期決算では、マクドナルドが事業を展開する上位6カ国合計で、デジタルチャネル経由の売上高は60億ドルを超えた。これは、直営とフランチャイズを合わせた店舗システム全体の売上高の約3分の1にのぼる数字だ。