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2022.07.30

大型小売店ウォルマート、キャンプリゾートに「小型店舗」を展開

Getty Images

休暇で出かけた滞在先で、日焼け止めを忘れたことを思い出したとする。そんなときに何よりしたくないのは、サッカーのフィールド3面分ほどもあるウォルマートに行って必要なものを探し歩き、商品を山積みにしたカートを押してレジの前に並ぶ何人もの客の後ろに並ぶことだろう。

世界最大規模の小売りチェーン、ウォルマートはこの夏から米国内で、ごく小規模な店舗「The General Store by Walmart」の試験運用を開始する。自然の中に建てられた小さなキャビンで過ごす休暇のための施設「アウトポスト」を運営するスタートアップ、Getawayとの提携によって開始する新たなビジネスだ。

第1号店は、テキサス州のテキサス・ヒル・カントリーにあるGetawayのアウトポスト内に、8月中にオープンの予定。その後、9月から10月にかけて、オザーク高原、コネチカット州内の施設にも開設する。

そのほか年末までに、カリフォルニア州のビッグ・ベア・レイク、ニューヨーク州のキャッツキル山地でも開業を予定している。取り扱う商品は、リップクリームや日焼け止め、ハイキング用品、スキレット(鋳鉄製フライパン)など。

Getawayの創業者であるジョン・スタッフCEOによると、施設内にこうした小さな店を作るのは、宿泊客が「時間を取り戻す」ことを助け、その「時間を守る」ため。同社が28カ所で運営する施設は、遠ければ主要都市から2時間ほどかかる。

この新たな事業は、ウォルマートがホスピタリティ産業への関心を高めていることを示すものだ。他社ブランドとの提携推進のために新設されたチームを率いる米ウォルマートのブランド・マーケテイング担当バイスプレジデント、ケイシー・シュレイボーは、この事業の今後について詳細は明らかにしていない。だが、その他のホテルやリゾート内での開設を計画していることは、想像に難くない。

この事業には、マーケティングの側面もあるだろう。例えば、Getawayは宿泊を予約した人(ミレニアル世代が大半を占める)宛てに、「滞在中にあると良いもの」を説明するメールを送るが、そこにはウォルマートのウェブサイトへのリンクも記載されている。

また、宿泊客にはウォルマート・ブランドの「スモア」のキットがプレゼントされる(スモアは焼きマシュマロとチョコレートをグラハムクラッカーで挟んで作るキャンプファイヤーの定番デザート)。施設内ではそのほかにも、セミの鳴き声や焚き火の音とともに、ウォルマートの会員制プログラム「Walmart+」の“ピッチ”が待っていると考えられる。

編集=木内涼子

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