このラウンドは、パンテラキャピタル(Pantera Capital)が主導し、Alchemy Ventures、OKG Investments、Polygon、既存出資元のBoost VCとDraper Associatesらが参加した。2020年の出資に参加したコインベースベンチャーズとProtocol Labsは今回の調達に参加しなかった。
NFTドメインは、それ自体がイーサリアムやポリゴンなどのブロックチェーン上でNFTとして発行されるトークンの一種で、インターネットのドメインと同じようにドットで区切られた文字列で表現される。「.nft」や「.wallet」「.crypto」などの末尾を持つこのドメインは、長大なウォレットアドレスを置き換えることができる。
従来のインターネットドメインは年間契約が必要だったが、アンストッパブル社のサービスは、1回限りの料金で、5ドルから利用できる。
NFTドメインは、ユーザーに自分のデジタルIDの所有権と管理権を与えるだけでなく、煩雑なウォレットアドレスを単純な文字列に置き換えることで、ユーザーの負担を軽減する。現在の暗号通貨やNFTの取引では、ウォレットアドレスがユーザーの識別子として機能し、個人情報と金融情報を結びつけていることが、脆弱性の一因となっている。
NFTドメインは、ブロックチェーンベースのアプリケーション全体でユーザーの個人アドレスとして機能し、所有者が開示したいと思うあらゆる個人情報をサポートする。
パンテラキャピタルのPaul Veradittakitは、「アンストッパブル社は、インターネットを変える分散型アイデンティティの新たなカテゴリを急速に定義している」と述べた。アンストッパブル社は、「.bitcoin」「.coin」「.blockchain」などの10種類のトップレベルのNFTドメインを所有している。
一方、ブロックチェーンベースのドメインには、マイナス面も指摘されている。マイクロソフトは2021年10月のレポートで、このような仕組みは中心性がないため、サイトを閉鎖したり、所有者を追跡したりすることが困難で、犯罪ネットワークの構築手段になる可能性があると指摘していた。
アンストッパブル社のコミュニケーション担当副社長のノラ・チャン(Nora Chan)は、ユーザーが自身の資産をコントロールできるようにすることが「ユーザーを保護し、より安全なインターネットにつながる」と主張した。
アンストッパブル社は2019年に事業を開始し、これまでに250万件のドメインを登録し、8000万ドルの収益を上げている。同社は、今回の調達が発表される以前は、700万ドルの出資を受けただけだった。
「お名前.com」を運営するGMOインターネットは27日、アンストッパブル社と協業し、NFTドメイン紹介・登録サービスの「CryptoNamebyGMO」の提供を開始したと発表した。