現在Netflixでは、全世界独占配信中のグローバル版「アイアン・シェフ: レジェンドへの道」がリニューアルされています。料理番組の名手であるアルトン・ブラウンが共同司会を務め、新たに5人の鉄人シェフも迎え入れ、好評を得ています。このグローバル版はアメリカを含む世界13か国でトップ10入りしました。
今回のNetflixとの展開でも一役買った前出の小宮氏に、あらためて「アイアン・シェフ」の人気の理由を聞くと、「スポーツ番組のようにスタジアム化し、世界レベルの料理とハイテンションのスポーツ実況を融合したテンポの良い番組スタイルが最大の魅力であると分析しています」という答えが返ってきました。確かに、オリジナル版でも元フジテレビの福井謙二アナウンサーがスポーツ中継のように実況したものが強く印象に残っています。
また人気継続の理由については、前出のエイタン・ケラー氏がエグゼクティブプロデューサーとして続投したことも大きかったのかもしれません。
「彼は世界で一番、『料理の鉄人』を愛している男だと思います。だからこそ、アイデアや演出方法を細かく規定した制作バイブルには書かれていない部分も番組には反映されています」(小宮氏)
鹿賀丈史の役割を担う俳優マーク・ダカスコスの起用も、オリジナルを尊重している表れの1つだと思われます。
マーク・ダカスコスが盛り上げる 「アイアン・シェフ: レジェンドへの道」(c)Netflix
このように、グローバルでヒットする1つの鍵としては、オリジナル番組に対する愛情も大事な要素であると言えます。フジテレビではバラエティ番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」の1コーナーである「脳カベ」も各国のクリエイターの熱意によって、南米などで海外現地版が継続して制作されているそうです。
国境と時代を越えても揺るがないコンテンツの強さとは何か。「料理の鉄人」のような海外ヒット番組にそのヒントが詰まっているのかもしれません。
連載:グローバル視点で覗きたいエンタメビジネスの今
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