ビジネス

2022.07.25 08:00

世界、日本、「ポジティブな未来計画」論!インパクト・スタートアップたちの現在と今後

Forbes JAPAN編集部

前田瑶介(以下、前田):私は、「一人ひとりが生き生きとしていて、地球とも調和している状態をつくること」が大切だと思っています。そのためには、水はもちろん、将来的には空気やエネルギー、食糧などのエッセンシャルズを低コストかつ環境負荷をかけずに使える状態を実現する必要があります。

WOTAは、水問題の構造的解決を目指しています。そのために、小規模分散型水循環システムの開発に取り組んでいます。

岡島礼奈(以下、岡島):WOTAの水循環システムは宇宙でも役立ちそうですね。私たちALEは宇宙スタートアップですが、人類が宇宙のどこかで存続し続けることが大事だと思っています。基礎科学を発展させて、人類を持続的に生きていけるようにすることが究極の目的です。

星直人(以下、星):私だけCFO(最高財務責任者)なのですが、チャイルドケア・テック領域を手がけるユニファで財務戦略などを主導しています。根本にあるのは、フラットでフェアな社会をつくりたいという思いです。慎さんと非常に似ていて、性別などのコントロールできない制約条件がなくなり個人が意思決定権をもてる社会。これが私の理想です。

松田崇弥(以下、松田):私たちヘラルボニーが描くのは、ありのままが肯定されている社会です。4歳上の兄が重度の知的障害を伴う自閉症だったので、昔から知的障害のイメージを変えることに大きな興味がありました。福祉の世界は原則、健常者に近づけていこうという発想で成り立っています。

私たちはそれを根本から変えたい。いまは知的障害のある作家の作品を扱うアートライセンス事業を中心に手がけていますが、ゆくゆくは、どんな場所や業態でも知的障害がある人が普通に働いたりしている景色をつくることが目標です。「市場」よりも「思想」を開拓したいと思っています。

水野雄介(以下、水野):皆さんの未来像や取り組みを聞くとワクワクします。私が描く理想の未来は、子どもたち全員が幸せであることです。ライフイズテックは中高生向けのIT・プログラミング教育サービスを提供しています。最先端のテクノロジーを学べる状態をつくることで子どもたちの可能性を最大限に伸ばし、25年までに120万人のイノベーション人材を育成することを目標に掲げています。


水野雄介◎ライフイズテック代表取締役CEO。1982年生まれ。慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒、同大学院修了。大学院在学中に、開成高等学校の物理非常勤講師を務める。大学院修了後、人材コンサルティング会社を経て2010年にピスチャー(現ライフイズテック)設立。11年に中高生向けIT教育プログラム「Life is Tech!」を開始。

高橋祥子(以下、高橋):私は生命科学者ですが、理想の未来は存在しないと思っています。なぜなら、ヒトは誕生以来ずっと、新しい課題が生まれては解決することを繰り返してきたからです。課題をきちんと設定し、解決のためにエネルギーを注げる状態こそが理想だと私は考えています。この思いをベースに、ジーンクエストはゲノム解析サービスを通じて病気を未然に防ぐことに取り組んでいます。
次ページ > 社会性も事業性も両立する

文=瀬戸久美子 写真=小田駿一 スタイリング=堀口和貢 ヘアメイク=石川美幸 / 高松れい 制作 コーディネート=榛葉友輔(Empire Entertainment Japan) 美術=村山一也(目黒工芸) 照明=伊地知新 機材=アップルボックス

この記事は 「Forbes JAPAN No.097 2022年9月号(2022/7/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事