ルクセンブルグの司法裁判所は14日、デンマーク政府が「フェタ」と表示されたデンマーク産のチーズがEU圏外に輸出されるのを阻止する義務を怠ったと判断した。これにより、59年間続いたデンマーク産のフェタチーズの輸出に終止符が打たれる。
フェタチーズは、未殺菌の羊や山羊の乳から作られるギリシャの伝統的なチーズで、EUは20年前からこの呼び名が一般名称ではなく、ギリシャ産でなければならないと宣言してきた。
世界知的所有権機関(WIPO)によると、ギリシャは世界最大のフェタチーズの生産国であり、EU域内の消費量の85%以上を占めているが、世界の輸出に占める割合は28%に過ぎない。
14日の判決は、EUが2019年にデンマークを相手取って起こした訴訟を受けたもので、EUは、デンマークがEUの原産地呼称の規定に違反すると主張していた。デンマークは、年間平均約8万5000トンのチーズの輸出が禁止されれば、インドやインドネシア、米国との貿易が阻害されると主張していた。
ギリシャは毎年12万トンのフェタチーズを生産している。ギリシャはその約3分の1の2億ユーロ(約280億円)相当を輸出し、30万人以上の雇用を創出している。