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2022.12.27 18:00

トヨタ・センチュリーの「控えめな魅力」は、果たしてイギリス人にも理解できるのか?

David Roscoe-Rutter

イギリスに輸入された当該G50は、2005年から2010年にかけて生産された中期モデルだ。前期モデルとの差異はテールランプのLED化、4速ATの6速化、カーナビ画面の大型化などが挙げられる。スタイリングは1967年のオリジナルからの正常進化したもので、ベースとなっているのはトヨタ・セルシオ(日本国外ではレクサスLS400)だ。完璧なまでの信頼性と洗練性を追求し、トヨタの枠を超えたブランドに相応しいフラッグシップだった。そんなセルシオの2代目から、シャシーやステアリング、サスペンションの一部を流用している。
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nullLEDテールランプが中期モデルであることをうかがわせる。

5リッターV12気筒エンジンは2つのECUが燃料噴射装置を司り、片バンクが故障しても走行できるようになっている。最高出力はかつて日本に存在した“紳士協定”により276bhpと謳われているが、実際は330bhpを超えるとも言われていた。最大トルクは355lb/4000rpmだが、その8割は1200rpmで発揮する。高級リムジンらしい味付けだ。このような素晴らしいエンジンがセンチュリーにしか搭載されなかったのは勿体ない話であり、センチュリーが特別な車であることを証明しているかのようだ。

null洗練を追い求めたV12エンジンだが、いざというときは実力を発揮する。
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ステアリングを握ると、すべては後席のためであること感じさせる。後席の足元スペースを確保するためにシートのスライド量は少ない。トランスミッションのレスポンスは穏やかでスムーズな走りをするには最適だが、追い越しや高速道路では…、「S」モードを選択するのがベストだろう。センチュリーの性質上「スポーツ」は適切とは思えないが、確かにレスポンスが向上し、ボンネット内に大排気量のV12エンジンが鎮座していることを認識できる。デジタル表示されるタコメーターの反応は笑えるほど緩く、シームレスで弾力性のある圧倒的な加速についてこない。そして、アクセルペダルを踏み込んでもV12エンジンの音はあまり聞こえないばかりか、振動もほとんどない。まるで巨大なバットを冷静沈着に振り回しているかのようだ。

null厳かさすら漂う巡行走行。

運転席のシートは小振りかつフラットでドライバーの身体のホールド性は悪く、ステアリングホイールにしがみつく雰囲気になる。エアサスペンションは当然、フラッドライドを突き詰めたもので、風船のような扁平率を持つブリヂストン・レグノ16インチタイヤ(指定銘柄)との相性は抜群だ。ワインディングではドライバーの身体は振り回されがちだが、センチュリー自体の走りは悪くない。ステアリング操作は軽く、リニアに反応し、制動力を必要とするときはブレーキペダルをしっかり踏み込んでやればいい。トランスミッションは各ギアをホールドすることもできる。センチュリーが街中や高速道路で模範的な走りをするのは当然として、それを超えた楽しみを与えてくれるのは驚く。そして、決して見苦しくなったり、野暮ったくなったりすることはない。

センチュリーは多くの高級車につきものの過剰さを意図的に排除し、押しつけがましさのなさで、日本独自な高級車の定義を示している。輸出を試みるべく左ハンドルのG50は100台生産されたものの、27台しか販売されなかったと聞く。現在でも在仏日本大使館で1台が稼働している。イギリスに中古車として輸入された当該センチュリーは、車両保険上1万2000ポンドと評価されている。これほどコストパフォーマンスに優れた車は、そう見つからない。しかも万が一、修理が必要な場合は部品番号が分かれば、日本から安価で取り寄せることができる。

だが、そんな中古車相場の状況は変わるかもしれない。というのも、そろそろ新車時登録から25年が経過したものも出てきて、アメリカへの輸入が可能になるからだ。12気筒エンジンを搭載したかつての日本最高級車、車好きが興味を持たないはずがない。だが、衒いに不向きであることを記しておく。それがセンチュリーの本質なのだから

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2007年 トヨタ・センチュリー

エンジン4999cc V12DOHC、48バルブ、可変バルブタイミング、電子制御式燃料噴射
最高出力276bhp/5200rpm 最大トルク355lb ft/4000rpm
トランスミッション:6段AT、後輪駆動
パワーパステアリング:ラック&ピニオン
サスペンション:前後ともにダブルウィッシュボーン、エアスプリング
ブレーキ:ベンチレーテッド・ディスク、ABS
車両重量1990㎏
最高速度112mph(180km/h、リミッター付き)

(この記事はOctaneからの転載記事である。)

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