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2022.07.23 08:30

SAPとDIC、「廃プラ」のトレーサビリティシステムを構築へ

SAPとDICはこのほど、プラスチックの資源循環の促進を目指し、ブロックチェーンを使用した廃プラスチックのトレーサビリティシステム構築の実証実験を開始した。

同実証はSAPのGreenTokenシステムを利用して、生産の初期段階からサプライチェーンに沿って原材料を追跡し、再生材の製造工程・検査工程・物性情報・品質情報などの可視化を目指す。これにより、顧客が再生プラスチックを使用する際に、製品の再生材含有率を提示できるとしている。

プライベートブロックチェーン技術を活用するGreenTokenは、サプライチェーンの透明化を図るべく、プラスチック素材の原材料から製品の製造・販売・使用・回収・粉砕・再利用までのライフサイクルにおける過程を追跡するシステムだ。

同システムはデジタルツインを活用し、原材料の出自に関連する固有の属性・カーボンフットプリント・市場回収品の出自・サステナビリティ認証データなどの情報をトークンに記録する。トークンを発行することで、再生材を他の原材料と混合して新製品を生産した場合でも、その再生材を追跡できる。

DICは、プラスチック食品容器包装をはじめ幅広い用途で使われる合成樹脂であるポリスチレンを製造・販売している。2020年11月、パートナー企業と共にポリスチレンの完全循環型リサイクルの取り組みの開始を発表した。同取り組みでは、マテリアルリサイクルに適していない市場回収品を再生するべく、ケミカルリサイクルでポリスチレンをスチレンモノマーに還元する完全循環型リサイクルの実現を目指している。


廃プラスチックのトレーサビリティシステム(出典:DIC)

GreenToken by SAPの共同創設者のJames Veale氏は、「ケミカルリサイクルは、サーキュラーエコノミー移行を加速させる鍵になります。同ソリューションは、廃プラスチックをケミカルリサイクルしたプラスチックが真に循環型であることを証明し、完全で監査可能なサプライチェーンの透明性を提供します」と述べた。

今後、DICグループは注力市場である食品容器包装用途において、顧客やサプライヤーと共同でサプライチェーン全体でサーキュラーエコノミー移行を目指していきたい考えだ。

【プレスリリース】DICとSAP、ブロックチェーンを使用した廃プラスチックのトレーサビリティシステム構築の実証実験を開始


※この記事は、2022年7月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。

文=クリューガー量子

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