ビジネス

2022.07.22

さまざまな社会インパクトの実現を目指す、新しいフィランソロピー実践者たち30人

孫 正義(Getty Images)


亀山敬司


DMM.com 会長

寄付の循環は根付くか。無料エンジニア養成機関

DMMを通じて総額50億円を寄付し、パリ発・世界屈指のプログラミングスクール「42」の日本校を2020年にローンチ。42は学費無料、学歴不問、施設は24時間利用可能。「挑戦したいすべての人に質の高い教育を」というコンセプト通り、経済状態や学歴、現在の職業にかかわらず、誰もが挑戦できる環境が備わっている。

曰く、今回の取り組みは「社会実験」。基盤はDMMが拠出したが、最終的には「卒業生が成長し、稼ぐことで、少しずつでも寄付をして次に入る学生の学費を支えてくれる、そんな寄付の循環が生まれたら本当によいな、と夢見ています」。

久能祐子


S&R財団 理事長兼CEO

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「才能のある個人」を日米で強力支援

日米で創業したバイオベンチャー2社を上場させたイノベーターとしての自身の経験を基に、芸術・科学・社会起業の分野で才能ある個人を支援することを目的として「S&R財団」を2000年に創設。

14年には住居付きインキュベーター施設「ハルシオン・インキュベーター」を設立。5カ月間のプログラムは全額無料で、株式は保有しない。プログラムを終えた40ベンチャーの資金調達の成功率は60%。調達額は約18.2億円に達し、220人の雇用を創出した。同財団のほか、日米さまざまな団体・組織・大学を通じ、起業家を目指す若者や若手研究者の支援に尽力している。

末松弥奈子


ニューズ・ツー・ユーホールディングス代表取締役社長など

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地域創生、次世代育成に幅広く尽力

広島に拠点を置く国内有数の造船会社「常石造船」の4代目。英語による世界への日本の情報発信を強化したいという思いから2017年に「ジャパンタイムズ」を買収。「JapanTimes ESG推進コンソーシアム」「Japan Times Satoyama推進コンソーシアム」を創設し、毎年開催るAwardsを通じて、日本のESG経営や里山資本主義の成功事例を国内外に発信している。

20年には、グローバルに活躍する人材を育成するため、故郷の広島に日本初の全寮制小学校「神石インターナショナルスクール」を開校。四季折々の大自然のなか、日本やアジア、世界中の子どもが切磋琢磨する。

高島宏平


オイシックス・ラ・大地 代表取締役社長

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食を通じた多彩な社会貢献

2020年4月、新型コロナ対応にあたる医療現場を食で応援する「WeSupport」を代表として設立。サポート企業は126社、延べ支援人数は約70万人、支援金額は7億円以上。国内有数規模に成長した同プラットフォームを使い、21年からはひとり親世帯を中心とした子どものいる貧困家庭に向けた食支援も開始。

日本の子どもの約7人に1人が貧困状態にあるなか、経済的に苦しい家庭を支援するとともに、企業の余剰在庫なども活用しフードロス解決にも寄与する。そのほか、開発途上国の給食につながる「TABLE FOR TWO」への協賛など、オイシックスを通じての社会貢献も多彩。

黒田武志


リネットジャパングルーブ 代表取締役社長/グループCEO

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本業に社会課題解決モデルを取り組む

「ネットオフ」「リネット」でリユース・リサイクル事業を手がける、マザーズ上場「リネットジャパングルーブ」創業者。「収益と社会性を両立したビジネスモデルという“偉大な作品”を創る」というコンセプトのもと、同社の事業としてカンボジアでマイクロファイナンスサービスを展開。ソーシャルな金融機関として、金融の力で貧困層の自立支援を行う。

またカンボジアで自動車整備士などの技能実習生を育て、日本での就労をサポートする送り出し事業において、日本の労働力不足の解決とカンボジア国内の技術レベルの向上に取り組んでいる。

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「偉大な作品」を創るというコンセプトで、ビジネスモデルに社会課題解決の仕組みを組み込んだ事業を展開している。小型家電リサイクル事業では、分解工程で知的障がい者を一般雇用し、障がい者の雇用改善・推進の取り組みも
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文=フォーブスジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.093 2022年月5号(2022/3/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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