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2022.07.17 10:00

テスラの自動運転担当幹部の「謎めいた退社」と死亡事故の関係

Getty Images

テスラの人工知能(AI)チームの責任者で、自動運転テクノロジー開発の重要メンバーだった人物が、同社のオートパイロットシステムが当局からの監視を強化される中で退社を発表した。

スタンフォード大学出身のコンピューターサイエンティストのアンドレイ・カルパシー(Andrej Karpathy)は7月13日にツイッターで理由を明かさずに退社を発表した。彼は以前に、イーロン・マスクが共同創業したOpenAIで研究者を務めた後、2017年にテスラに入社していた。

「過去5年間、テスラで働けたことは大きな喜びであり、会社を離れるのは難しい決断だった」と彼は書いている。「その間に、オートパイロットは車線の維持から市街地をカバーするテクノロジーに発展した。チームが現状の勢いを継続することを楽しみにしている」と語るカルパシーは、今後の具体的プランはないと述べている。

マスクはテスラが完全な自律走行におけるリーダーになることを望んでいるが、同社の運転支援システムのオートパイロットと「フルセルフ・ドライビング(FSD)」と呼ばれる技術はまだその水準には達しておらず、死亡事故との関連が指摘されている。米国道路安全局(NHTSA)は今月、フロリダ州でテスラのモデルSが停車中のウォルマートのトラックに衝突した事故の調査を開始した。

この事故では、テスラに乗っていた2人が死亡しており、それがオートパイロットの使用に関連したものかどうかは不明だが、報道によると、NHTSAはこの技術が関係するテスラの過去30件の事故についての調査を開始したという。

カルパシーは、AI部門のシニアディレクターとして、オートパイロットを支えるコンピュータビジョンのチームを率いていた。テスラは、ウェイモやクルーズ、ズークスなどの自動運転分野の競合とは異なり、詳細な3D画像を提供するLiDARセンサーを使用せず、カメラからのデータだけでオートパイロットを作動させている。

カルパシーの退社に際し、長年LiDARを批判してきたマスクは、「あなたがテスラのためにしてくれたことすべてに感謝する!」とツイートした。

マスクは3月にカルパシーが4カ月間のサバティカル(長期休暇)に入ることを発表したが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。カルパシーは休養をとって旅行をしたいと述べていた。

フォーブスは、テスラにカルパシーの退社と彼の後任についてコメントを求めたが、回答は得られてない。

カルパシーの退社のタイミングは、テスラがサンマテオのオフィスを閉鎖し、約230人の従業員を解雇する動きと重なった。解雇対象の多くは、オートパイロットプログラムを支援するデータアノテーションの専門家たちだった。マスクは、テスラが予想される景気後退を前に、ほとんどの部門で人員削減を行っていると述べている。

編集=上田裕資

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