米失業保険の新規申請件数が8カ月ぶりの高水準 労働省発表

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景気後退とインフレ率上昇の懸念が広がり、一部の企業が人員削減を発表し始めている中で、米国全体の失業保険の新規申請件数は依然として少ないものの、先週は8カ月ぶりの高水準となった。米労働省が14日に発表した。

7月9日までの1週間の失業手当申請件数は、前週の23万5000件から9000件増えて24万4000件となった。

2週連続の増加となり、2021年11月中旬以来の水準だ。一方で、1週間遅れて発表される7月2日までの週の州手当の継続申請件数は4万1000件減の130万件となり、4月以来の大きな減少幅となった。

失業保険の新規申請件数の増加にもかかわらず、失業給付を申請する人の数は「まだ低水準だ」とコメリカ銀行のチーフエコノミストであるビル・アダムスは声明で述べた。「1971年に比較可能な統計をとり始めて以来」、継続して失業給付を申請する労働者の割合は最も低いと指摘した。

労働省が先週発表した6月の新規雇用者数は37万2000人で、前々月と同じペースで増加し、失業率は4カ月連続で3.6%に止まった。

今回の失業保険新規申請数の発表の前日に労働省は、6月までの12カ月間のインフレ率が9.1%だったことを発表した。インフレ率の上昇はガソリン、住居、食品価格の高騰によるもので、40年ぶりの高水準となった。また、物価全体が5月から1.3%上昇していて、景気後退への懸念は高まる一方だ。

労働省が14日に発表した卸売物価も前年同月比11.3%上昇し、3月に記録した上昇率11.6%以来、ほぼ最高値となった。インフレに対処するため、米連邦準備制度理事会(FRB)は5月に金利を0.5%引き上げ、6月には0.75%の利上げを実施した。労働市場は依然として厳しいものの、テスラ、ネットフリックス、マイクロソフトなど一部の大手企業はここ数週間、解雇を発表している。

翻訳=溝口慈子

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