経済・社会

2022.07.15 07:00

「BA.5」対応ワクチン完成は10月以降 米CDCは早期の追加接種を推奨

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新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の派生型「BA.5」が優勢となるなか、米国でも感染・入院者数が再び急増している。公衆衛生の専門家らはこうした状況を受け、重症化リスクが高い人は「すぐにも追加(4回目)接種を受けるべきだ」と訴えている。

食品医薬品局(FDA)は6月末、ワクチンメーカー各社に対し、感染力が強まった「BA.5」などを標的とする追加接種用のワクチンを準備するよう勧告。各社は現在、ワクチンの改良を進めている。だが、その新たなワクチンの供給開始は、今年10~11月になる見込みとされている。

そのため米疾病対策センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長は、重症化リスクが高い人たちにとっては、改良型ワクチンが使用可能になるのを待つのは「良案ではない」と述べ、できる限り早期に追加接種を受けるべきだとしている。

米国では多くの人が必要な回数の接種を受けておらず、感染者に占める入院者数の割合は、今年4月と比べておよそ2倍に上昇している。政府のアンソニー・ファウチ主席医療顧問も、「今まさに脅威が高まっている」として、追加接種を受けるよう促している。

CDCは5歳以上のすべての人に対し、ワクチン接種に関して“最新の状態”を維持する(接種の遅れを避ける)ため、最初の「接種完了」から5カ月以上が経過した時点で、追加接種を受けることを勧めている。

さらに、ホワイトハウスは2回目の追加接種の対象者を、現在の「50歳以上のすべての成人と12歳以上の免疫不全の人」から、「すべての成人」に拡大することを検討中だとされている。

「置き換わり」で感染者が急増


CDCによると、米国で7月10日までの1週間に報告された1日あたりの新規感染者数は、平均10万3907人。今年1月のピーク時(同80万人以上)と比較すれば、かなり少ない数だが、4月上旬からは3倍以上に増えている。

米国で感染が確認された人のうち、「BA.5」が検出された人の割合は、2日までの1週間に54%となった。主流となったその翌週(9日まで)には、65%を占めるようになっている。南アフリカで初めて確認された「BA.5」と「BA.4」が米国で初めて特定されたのは、3月下旬だった。

新型コロナウイルスの感染者は、その他各国でも再び急増している。世界保健機関(WHO)は11日、欧州の5歳以上の免疫不全の人に対し、2回目の追加接種を受けるよう勧告している。

編集=木内涼子

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