本書は、人類の誕生から始まる歴史をたどり、3000年前の市場の誕生や800年前の資本主義の誕生、そして民主主義と市場経済の発達によって世界はどう移り変わり、人類がどんな歴史をつくってきたのかが綿々と綴られています。また、歴史から見通す未来やこれから起こるであろう世界情勢の変化、政治、経済、金融・産業構造、人々の価値観の変化も詳細に予測されています。
本書を知ったのは、リーマンショックで会社が2期連続赤字に陥り、経営破綻の危機に直面していたころでした。
そのころは日本の上場企業53社が倒産するなど深い不況期にあり、CFOだった私は、藁にもすがる思いで資金繰りに奔走していました。全社一丸となって会社を立て直し、2010年にようやく黒字に転じました。そしてこれから先、会社をどう経営し、世界はどんな未来に向かって進んでゆくのか、毎日深く考えていました。そのとき、“リーマンショックを予言していた本”という文字が目に留まり、一気に読みました。
この本が発刊されたのは2006年とのことでしたが、リーマンショックをはじめ、まだ見ぬ未来の出来事を著者アタリ氏は見事に見通していました。その予測の精度の高さに驚くとともに、背景にある法則に大きな示唆を得ました。
「次世代に豊かな生活環境を残すために、未来の前提となる歴史を理解し、未来の出来事に対する対処の仕方を研究する必要がある。歴史にはいくつかの法則があり、これらの法則により、歴史を見通すことも、これからの方向性を見つけ出すこともできる」とアタリ氏は述べています。歴史を学ぶことで得た深い洞察力が未来予測の精度のもとになっていることを知りました。