本書でつづられている21世紀の歴史においては、前半はパンデミックや世界的規模の戦争が起こると予想されています。しかしその“超紛争時代”の先には、社会調和重視の企業群が残り、利他主義が世の中の中心的価値観になるとあります。これを企業経営の観点からとらえてみると、まさに“サステナビリティ”という理念に基づく経営こそが、未来の歴史に残る企業経営の在り方なのだと思います。
その意味で、当社の社是である「利他」の考え方に基づく経営には歴史を貫く普遍的価値があると強く共感し、勇気をもらいました。
本書の戦争が続く未来が予測されている箇所では、あたかもロシアによるウクライナ侵攻を予言していたようにも感じられ、無力感に苛まれ忸怩たる思いを抱かずにはいられません。しかしこの先の未来には、アタリ氏が予測する調和に満ちた世界、持続可能な社会に向かって時代が進んでゆくと信じます。
title /21世紀の歴史 未来の人類から見た世界
author /ジャック・アタリ
data /作品社 2400円/352ページ
さいとう・せいいち◎1960年生まれ。慶應義塾大学卒業。邦銀から外資系金融機関を経て、2005年にサンフロンティア不動産に入社。管理本部長として東証1部上場への対応等を主導。専務取締役、代表取締役副社長を経て。20年4月より現職。
ジャック・アタリ◎フランスの経済学者、思想家、作家。ミッテラン政権で特別顧問就任、欧州復興開発銀行総裁も務めるなど、政治経済の現場に広く携わる。近未来を示唆する内容の著書が多く、『21世紀の歴史』『2030年ジャック・アタリの未来予測』などは日本でもベストセラーとなる。