欧州予防接種専門家技術諮問委員会は12日の声明で、加盟国は人々の予防接種を最新の状態に保つための「努力を強化」し、追加ブースター接種の対象者を拡大すべきと述べた。
同委員会は、5歳以上の中等度・重度の免疫不全の人とその近親者(同じ世帯に住む人など)に2回目のブースターを接種することを推奨している。
また、医療従事者や高齢者、妊婦などのリスクグループへの追加接種も検討すべきとし、可能なら新型コロナワクチンのブースターは季節性インフルエンザワクチンと一緒に接種するよう加盟国に求めている。
WHOの欧州地域ディレクターであるハンス・クルーゲは声明で「2回目のブースター接種の対象を拡大することは、欧州の人々が重度の感染を回避し、患者数の増加にともなって病院システムが圧迫されるのを防ぐのに役立つ」と述べた。
11日には欧州連合(EU)の保健機関も同様の呼びかけを行い、60歳以上と医学的に脆弱と考えられる人に2回目のブースター接種を推奨している。
「日常生活を送る中で、このウイルスがまだなくなっておらず、危険であることを忘れてはならない。夏を楽しみつつ安全に過ごし、対象となる人は2回目のブースター接種を受けてほしい」とクルーゲは呼びかけた。
米バイデン政権は、2回目のブースター接種対象をすべての成人に拡大する方向で進めている。ホワイトハウスの情報筋が11日にCNNに語った。
米疾病対策予防センター(CDC)によると、7月7日時点で1回目のブースター接種を済ませたのは接種対象となっている成人の約半数にすぎない。50歳以上の米国人は2回目のブースター接種の対象だが、先週時点で4人に1人しか受けていないとCDCは明らかにした。
新型コロナの新規感染者と入院患者は欧州全域で増加している。先週、14日間の患者発生率は28%上昇し、EUとアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーでは10万人あたり921人の感染が確認された。
専門家によると、ほとんどの新規感染は、オミクロン株の変異種である感染力の強いBA.4とBA.5によるものだという。
初期の兆候では、この2つの変異株はワクチンや以前の感染による抗体に対して耐性があることが示唆されているが、重症化を引き起こすことはないようだと専門家は指摘する。
欧州の多くの国々ではマスクの着用義務、新型コロナパスポート、検査義務といったパンデミックに関する制限は、すべてではないにせよ、ほとんど撤廃されている。