彼女の自画自賛へ賛同するか否かはともあれ、大小さまざまな酒類ブランドがSFWSCのお墨付きを得ようと躍起になっていることは否定できない。2022年はその結果が出るのにいつもより時間がかかった。実際の審査は4月の2週間にわたって行われたが、その結果は少しずつ滴るように明らかにされてきた。数カ月前から一部のメダルの受賞者はわかっていたものの、コンペティションは米国時間6月24日にサンフランシスコで行われたライブセレモニーで初めてその全容を明らかにした。これでようやく、肝心要の「総合ベスト・オブ・クラス」受賞者を知ることができた。さて、優勝者……
「Benromach(ベンロマック)40年シングルモルトスコッチ」
このスペイサイドの傑作は、ファーストフィルのオロロソシェリー樽のみで熟成され、57.1%のカスクストレングスでボトリングされている。この芳醇でまろやかなモルトは、125年の歴史を持つ蒸留所から生み出されている。同蒸溜所は現在、スコットランドのエルギンにある老舗の独立系ボトラー、ゴードン&マクファイルの才能ある人々によって管理されている。
この一杯のすばらしさは、ノージング(グラスを顔に近づけたときの香り)のときからすでに感じることができる。明るく、焼けたスパイスや煮込んだ果樹園の果実の香りに満ちているのだ。パンチのある味に続いて、ベルベットのようなボディがキャラメルとクロワッサンの味わいを口の中に広げてくる。
こうしたすばらしい香りと味の競演はもちろん賞賛に値する。だが、世界的な名声を得ていない他の多くのモルトの中にもこうした特徴は見つけることができる。このモルトを真に際立たせているのはフィニッシュ(後味)なのだ。タバコ、レザー、トフィーの香りが漂い、それがいつまでも続く。実際、時間がゆっくりと流れるような、貴重なひと口の体験を得られる。ふと気がつけば長い時間をこの酒と過ごしているような心持ちがするだろう。