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2022.07.09 07:30

米国のEV人気の確かさを示す「F-150ライトニング」の売れ行き

Getty Images

ガソリン価格の急騰を受けて、電気自動車(EV)への関心が高まっているが、我々は過去に同じような現象を経験している。10年ほど前にガソリン価格が高騰した際、多くの人がSUVやピックアップトラックから、より燃費の良い小型乗用車に乗り換えた。しかし、ガソリン価格が落ち着くと、再びSUVやピックアップトラックが市場を席捲した。今回のEVブームも、ひと度ガソリンの価格が元に戻れば消え去ってしまうのだろうか?

Cox AutomotiveのチーフエコノミストであるJonathan Smokeにこの質問を投げかけてみたところ、彼は異議を唱えた。「EVへの熱意は一時的なものではないだろう。現在は、重要な分岐点にあり、ブームは永続すると考えている」とSmokeは話す。

しかし、熱意や関心を持つことと、実際に購入することの間には大きなギャップがあることは、Smokeも認めている。「全ての人がEVを購入したいと思っても、業界は必要台数を供給することができず、経済性も悪い」とSmokeは話す。

Coxのエグゼクティブ・アナリストであるMichelle Krebsは、データを引用し、次のように指摘した。「1月以降でEVへの関心は70%、ハイブリッド車への関心は25%向上高まっているが、在庫不足により、購入には至っていない」

Smoke によると、EVの販売は地域差が大きく、シェアが10%を超える地域がある一方で、ゼロの地域も少なくないという。しかし、フォードの電動ピックアップ「F-150ライトニング」の登場は、こうした状況を一変させるゲームチェンジャーになり得ると、Coxのシニアエコノミスト、Charlie Chesbroughは指摘する。

「F-150ライトニングが売り切れになるほど人気を博したことで、ピックアップトラックのファンもEVを購入することが証明された。これまでは、共和党支持者が多いレッドステートでEVが売れるかは疑問視されていたが、確かな製品を提供できれば、誰でもEVに興味を持つことがわかった」とChesbroughは話す。

Coxは、年初に米国での新車販売台数の通年見通しを1600万台としていたが、経済や自動車市場の状況を踏まえ、1440万台に下方修正した。Chesbroughによると、この数字ですら、厳しい経済状況や継続する生産問題、消費者心理の悪化などを考慮すると楽観的だという。
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編集=上田裕資

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