好調な売上は、地域のコミック小売業者が新型コロナによる店舗閉鎖、流通問題、経済的逆風といった困難な2年間から立ち直るのに役立った。さらに、業界はこれまでよりも少ない新作でより多くの収益を上げた。これは、市場に出た作品の販売量と価格帯がより高くなったことを示唆している。「コミックショップ市場とコミックブックのフォーマットは力強く回復し、新作の発売予定は2019年の水準にまだ戻っていないものの、パンデミック前の販売数と売上高を上回った」とミラーは話す。
グリープは、コミックやアートワークが記録的な金額で売られているコレクターズ市場の活況も、単行本の売上を後押ししている要因の1つかもしれないと指摘する。コレクターは、ヴァリアントカバー(中身は同じだが表紙だけが違うもの)に追加料金を払ったり、新しいキャラクターやストーリーポイントの登場によって価値の上昇が見込まれる新作コミックを複数購入したりして、時代を先取りしようとしている。これらの要素は、この分野の顧客数を必ずしも増加させることなく、売上と収益を増加させることができる。
近年の流通の変化により、内部事情や専門の知識がないと市場規模を把握するのは困難だ。ICv2とコミクロンは売上高の推定方法を改善し、以前のように流通業者から店舗への売上ではなく、ComicHubとNPD Bookscanから得たより質の高いPOSデータを用いて消費者に至るまでの売上を測定した。
デジタル版の売上推定では、グリープは業界関係者にインタビューを行い、年差を確認したという。また、デジタル版の数字はアマゾンのcomiXologyなどのサービスが採用している「ダウンロードする」モデルのみで、デジタル購読やWebtoon、Tapasといったコミック専門アプリは考慮されていないとのことだ
とにかく2021年はコミック史上最高の売上を記録した年だった。