ノースカロライナ州では、共和党が多数派を占める州議会が新たな選挙区割りを策定したが、共和党に有利な方向に歪みすぎているとして州最高裁が無効と判断。裁判所が任命した別の専門家らによって区割りが再策定された。
ティモシー・ムーア州下院議長ら地元共和党議員はこの判断を不服とし、州議会が決めた選挙に関する規則を州の裁判所が覆すことの合憲性を争って連邦最高裁に提訴した。合衆国憲法では「各州における連邦選挙の時期、場所および方法はその州の議会によって定められる」としており、原告側は州最高裁が今回とったような措置はそれに違反するのではないかと主張している。
「独立州議会」論と呼ばれるこうした考えは、2020年の大統領選挙の結果を覆えそうとドナルド・トランプ前大統領やその取り巻きが選挙後に起こした裁判でも繰り返し主張された。
最高裁でこの説が支持されることになれば影響は甚大だ。連邦選挙に関する規則は州議会が望みどおりに設けられるようになり、州の裁判所や州務長官は議会の不当な措置を無効にしたり、みずから選挙規則を策定したりする権限を奪われることになるからだ。
大統領選の結果をめぐる裁判では、独立州議会論はまったく支持されなかった。ウィスコンシン州では、トランプの指名で就任した判事が「合衆国憲法の文言の明白な意味と常識のいずれにも反する」としてトランプ側の主張を退けている。
ノースカロライナ州の共和党議員らは今年2月に、裁判所によって任命された専門家らが策定した選挙区割りの差し止めを求めて最高裁に審理を求めたが、これは受理されなかった。保守派のブレット・カバノー判事はその際、最高裁の意見として、区割りを変更するには2022年の選挙の時期が近すぎると説明した。
一方で、カバノーのほか、同じく保守派のサミュエル・アリト、クラレンス・トーマス、ニール・ゴーサッチの各判事は、独立州議会論については最高裁が判断を示すべきだとの見解を明らかにしていた。アリトら複数の保守派判事がこの説を支持する意向を示唆している。