この船は、4月にイギリスのプリマスを出発し、搭載されたカメラ、センサー、レーダーからの情報をもとに悪天候を回避しながら、1620年の66日間の航海よりも3日短い63日間で大西洋を横断した。
海洋研究組織のプロメア(ProMare)とIBMの共同プロジェクトとして実施されたこの取り組みは、2年の歳月をかけて行われたもので、様々な技術的困難に直面しつつ、幾度もの延期を経てようやく成功した。研究チームによると、この船はクジラの行動や海面の上昇、マイクロプラスチック汚染に関するデータを収集しており、この航海がAIを用いた海洋データの収集のスタンダードとなることを期待しているという。
AIを用いた自動航行船が大西洋を横断したのはこれが初めてではないが、ソーラー電力で進む全長15メートル、重量5トンの完全自動航行船メイフラワー号は、この種の船としては最大のものだという。
最高速度10ノットで進むこの船は、7月1日午後にタグボートに誘導されてプリマス港に入港した。IBMのネットワーキングとエッジコンピューティングの最高技術責任者(CTO)は、このプロジェクトが、AIが人間のエクスペリエンスを拡大する取り組みの前例になると述べている。
プロジェクトの共同ディレクターのブレット・ファヌフによると、彼らは、航海の成功を祝うためにメイフラワー号の船内にプリマス・ジンのボトルを忍ばせておいたという。
IBMによると、この船の建造には約100万ドルがかかったという。