フィードバックをカスタマイズする
フィードバックのやりとりを、本人の自己評価を聞くことから始めるもう1つの大きな利点は、そうすることで相手の失敗や弱点について話をする機会が得られることだ。自分の弱点やしくじりや失敗について話したい人などいない。本人が自分を罰しているかもしれない失敗についてわざわざ説教する必要などない。その瞬間、本人は応援や激励を必要としているかもしれない。もしかしたら、弱点を大げさに話してしまい、事態を正しく捉えるために、適切な背景と知識を必要としているのかもしれない。
その一方、もし本人の自己評価がまったくの認識のなさを表していたなら、あなたは本人の仕事がひどく的外れだったことを説明するのに時間を使うことになるだろう。時間とエネルギーとリソースを投資し、教育、デモンストレーションなどの方法を使って、何が「良いもの」なのかを示す事例を提示するのもよいだろう。教育係をつけたり、本人が実力をつけようとしている分野で同僚の真似をする機会を与える方法もある。
結局、もし本人が問題を認識していないのなら、あなたは問題を解決しようとする前に、まずその認識を促す必要がある、ということだ。だから、そこでの目的は必ずしも自分の意見を伝えることではなく、この先本人がもっと成功するため必要としているものを与えることだということを忘れてならない。そしてそれは、自己評価において彼がどの位置にいるのかを見つけ出すことから始まる。
建設的なフィードバックは難しいものなので、相手自身の自己評価という最も重要な情報を集める前に「スピーチ」を始めてしまうという失敗を犯さないよう注意しなければならない。聞くのは理解するためであり、反応するためではない。
そして次のステップの効果を最大にするためにこの価値ある情報を使う。「説教モード」を忘れ、真の会話へと進むこと。会話が終わったあと、相手が「聞いてもらえた、支えられている」と感じるよう心がけることが大切だ。つらい真実を伝えなくてはならないこともあるだろうし、相手にとってあなたは、重要な分野で改善点を指摘をした最初の上司かもしれないが、それは問題ではない。多くの意味で、強力なリーダーシップとはそういうものだが、彼らに目を向け続けることを忘れてはいけない。そしてそのための最良の方法は、彼らが考え、立ち止まり、評価する機会を与えることだ。