ロイター通信によると、ガスプロムの株主は「現在の状況では、2021年の業績に基づいて配当を支払うのは得策ではない」ため、配当を行わないことを決議した、と同社のファミル・サディゴフ副社長は述べた。これは、ウクライナ侵攻にともない世界経済の大半から切り離されたロシアの経済状況の悪化を受けたものだ。
この決定は、取締役会が5月に推奨した1株当たり52.53ルーブル(約132円)の配当を取り消すものだ。
ガスプロムの株価は6月30日、29.8%下落し208.9ルーブル(約525円)となり、モスクワ証券取引所は一時的に同社株の売買を停止した。
株価下落により、ガスプロムの時価総額は7兆460億ルーブル(約17兆6940億円)に落ち込んだが、それでも時価総額ではロシア最大であることに変わりはない。
ガスプロムは、5月に発表されたフォーブスの世界最大の公開企業2000社リスト(企業の資産、時価総額、利益、売上高を考慮したもの)で49位にランクインしている。
原油・天然ガス価格の高騰により、ガスプロムは2021年に2兆900億ルーブル(約5兆2490億円)という過去最高の利益を記録したが、ロシアのエネルギー製品の欧州連合(EU)などへの輸出が一部禁止されたことで、同社の業績見通しは悪くなっている。ロシアで3番目に大きな公開企業である国営銀行スベルバンクは5月に配当を支払わないと発表した。
ルーブルは6月30日に対ドルで3.4%上昇して1ドル53.8ルーブルとなった。驚くべき上昇を続けていて、2015年以来の高値だ。ルーブルは今年初めに崩壊し、3月7日に1ドル150ルーブルと史上最低水準に落ち込んだ。