テクノロジー

2022.07.05 10:00

「宇宙でしかできないことがある」宇宙ビジネスコンサルタントが考える社会課題の解決【伊東せりか宇宙飛行士と考える地球の未来#8】


せりか:確かに。そういった条件とタイミングがマッチして、ワープスペースにも出資していただくことができたんですね。長年宇宙ビジネスに携わってこられた大貫さんは、宇宙ビジネスの必要性はどういうところにあると考えていらっしゃいますか?
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大貫さん:地球観測や通信、微小重力環境を利用した創薬や材料開発、宇宙資源やエネルギー利用、宇宙旅行など、宇宙でしかできないことがあるから、高いお金をかけてでも、宇宙に打ち上げるわけです。

そもそも宇宙開発の起源は、人口爆発や食糧危機、エネルギーの枯渇など、地球上の課題を解決することに紐づいています。だからSDGsで掲げられている17の目標のどれを見ても、宇宙開発が貢献しています。SDGsの目標に当てはめてみると、宇宙開発の社会的な意義はわかりやすくなるのではないでしょうか。

せりか:衛星通信で世界中に高速インターネットが普及すれば、教育水準を向上させられるでしょう。地球観測技術は、水質のモニタリングや気候変動対策にも活かせられます。確かに、どの宇宙技術もSDGsの目標と繋がっていそうですね。こういった事業にスピード感を持って取り組める民間主導の宇宙開発の社会的な意義は、今後さらに大きくなっていきそうです。
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最後に、宇宙ベンチャーが成長していくために、取り組んでいくべきだと考えていらっしゃることを教えてください!

大貫さん:「宇宙外交」という言葉があるように、政府が主導の宇宙開発では、国際関係や国家間の交渉が重要です。

一方、民間が主導の宇宙開発では、宇宙外交というよりは、宇宙ビジネスエコシステムのようなものが存在しているのではないかと思います。事業は研究機関や企業同士の毛細血管のような繋がりでできています。何気ないことの積み重ねで信頼関係が醸成され、水面下で事業が動き出すときに戦略的パートナーとしての関係が構築されることもあるでしょう。そういったエコシステムに上手く入っていけると良いのではないでしょうか。

せりか:何気ないことの積み重ねが信頼関係を構築していくというのは、宇宙飛行士同士や管制官、宇宙機関の職員の間でも同じことが言えるように思いました。ありがとうございました!


(c)小山宙哉/講談社


せりか宇宙飛行士との対談企画第八弾は、スパークスの大貫さんに登場していただき、民間主導の宇宙開発の意義について議論しました。

次回のゲストは、ワープスペースのCOO・東です。宇宙分野に求められるサイバーセキュリティについて議論します。お楽しみに。

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