デリバリー分野にAI(人工知能)サービスを提供するStor.aiが、米国に住む消費者1000人を対象に調査を行ったところ、食料品が15分で届くなら割増料金を「おそらく払う」と回答した人の割合は2%にとどまった。それに対して、割増料金を払ってまで食料品が15分で届くサービスを利用することは「絶対にない」と答えた人は57.5%だったと、米Forbesが伝えている。
この調査結果からは、消費者がスピードよりも、確実に商品が配達されることを重視していることがわかる、とStor.aiは述べている。実際、超高速宅配サービスを利用したときにいちばん困ったことは、「注文した商品が品切れだったときだった」と回答した人が22%いたのだ。「ユーザー体験が向上したら、超高速宅配サービスをもっと利用するだろう」という回答は27%だった。
小売業界に関するオンラインフォーラム「リテール・ワイヤー」の専門家委員会ブレーントラストに出席する専門家たちは、こうした調査結果を意外とは考えなかった。英データ分析企業グローバルデータのマネージングディレクター、ニール・ソーンダースもそのひとりだ。
「率直に言わせてもらうと、Qコマース(quick commerce)企業の圧倒的多数は、当初からビジネスモデルが破綻していた。客が払う利用料金では、サービス提供にかかるコストがカバーできないからだ」とソーンダースは述べた。「その上Qコマースは、問題を解決するためのソリューションというよりは、先に技術ありきのソリューションだ。10数分で商品が届かなければ困る、という消費者はほとんどいない」
メインストリート・マーケッツ(Main Street Markets)のディレクター、リチャード・ヘルナンデスも、「インフレが悪化し、企業が料金でコストを賄えないのが現状だ。こういう状態では、Qコマースが人々から必要とされるサービスとして継続するとは思えない」と語った。
インタラクティブ・エッジ(Interactive Edge)のゼル・ビアンコ(Zel Bianco)最高経営責任者(CEO)も、「よほどの緊急事態でもない限り、15分で食料品を届けてもらう必要などない」と話す。