Z世代への市場調査は意味がない? 好きなものが「バラバラ」という現実

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その根底にある多くの価値観の共有


市場調査が産業として成立するようになったのは、人々が似通うからだ。良いサンプルを集めれば、他の人々が何をするのかを推定することができ、それが、多くの人々にマーケティングを行う際に、製品やブランドをどのように紹介すべきかを教えてくれる。

Z世代の消費者は食べるもの、飲むもの、服装がすべて同じではないので、これがより難しい。

しかし、その根底には多くの価値観を共有していることがわかる。ファッションブランドは違えど、その動機については非常によく似た答えが返ってくる。憧れの人は「母親」。友人に求めるものは何かと尋ねると、最も多く出てきた言葉は「誠実さ」と「忠誠心」だった。

今の世界は、若い消費者にたくさんの選択肢を与えている。彼らの選択について尋ねると、どれも違っているように見える。しかし、その選択の動機は、グループ内で非常に首尾一貫している。彼らは、人間関係や人生への期待において、ほとんど同じものを求めているのだ。

消費財の分野では、市場の細分化が非常に進んでいる。私が話をする中で、複数の投資家が「何かが再び大きくなることはあるのだろうか?」という疑問を投げかけたこともあった。

私たちは、ニッチなブランドがマイクロマーケットに対応し、消費者1人ひとりが自社製品とのつながりを感じられるような方法を提供しているのを目の当たりにしている。そのため、新しいブランドが、一部の古いブランドのような巨大企業になることを望むのは、非常に困難なことなのだ。

ナイキやラルフ ローレン、ヘインズのように大きなブランドを作ることができるかどうか、誰にもわからない。若い消費者は購入動機が似ているとしても、「マス(大衆向け)」であることを示すブランドを求めてはいないのだ。

かつてビッグブランドの戦略は、リーディングブランドであることをセールスポイントとしていた。しかし、今では消費者はよりニッチなものを求めている。たとえそのブランドが好きな理由が他の多くのニッチなブランドにも当てはまるとしてもだ。これは、ブランドにとって険しい道であり、ブランドが到達できる規模に新たな制約が生じることになる。

翻訳=Akihito Mizukoshi

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