ビジネス

2022.07.14

菅・前首相も応援。世界最高の家庭教師が推す「モノローグでなくダイアローグ」のプレゼン法

菅義偉・前首相(右)、エグゼクティブ・スピーチコーチ/コミュニケーション戦略研究家 岡本純子(撮影=曽川拓哉)


「母グマ効果」で強くなり、「いたこ」になって演じる


お金持ちであるとか、容姿がいいとか、権力があるとかと言った「ハイパワー」の人は何を言っても許されるところがあるが、その逆のローパワーの人は口をつぐめば、無視され、何か言おうとすれば、図々しいと言われてしまう。

コロンビア大学ビジネススクール社会心理学教授のアダム・ガリンスキー氏も、「人が持つパワーが大きければ大きいほど、言動の許容範囲が広くなり、小さいほど、狭くなる」と言っています。



では、人と話す時、大勢の前でプレゼンをする時の「パワー」は、どうやって沸き起こせばよいのでしょうか。ガリンスキー教授は、子グマを守る「母グマ」になれ、と言います。

話し手が実際に「母」である必要はありません。「自分が守るべきミッション」こそが子グマなのです。友達を守るため、社会のため、あるいは後輩の女性たちを勇気づけるためなど、子グマがいる(ミッションがある)人は強くなれるのです。伝える言葉、態度にも説得力が生まれ、パワーが下支えしてくれます。

もうひとつ、自分を「いたこ(死者の魂を自らに憑依させ、その言葉を自分の口を使って伝える巫女のこと)」と思って、降りてくるミッションにとりつかれるようにして話すことにも大きな効き目があります。一度、ぜひ試してみてください。着ぐるみを着ているようなものですね。「いたこ」という別人格になって演じることで驚くほど緊張しないし、熱も聞き手に伝わります。

コミュニケーションをとる際には、自分の「子グマ」を見つける、そして、「話しているのは自分ではない。憑りついたミッションが自分を語らせているのだ!」と思いこむ。

緊張を拭い去り、熱を帯びたコミュニケーションを取る上で、この2つは非常に重要なことなのです。


『世界最高の雑談力』(東洋経済新報社刊)

岡本純子◎グローコム代表取締役社長、米MIT比較メディア学元客員研究員。読売新聞社経済部記者時代、孫正義ソフトバンク社長など世界の経済人、政治家を多数取材する。その後NYでコミュニケーション術を学び、帰国後は1000人を超えるエグゼクティブに話し方をコーチング、「伝説の家庭教師」の異名をとる。11刷、累計15万部のベストセラーとなった著書『世界最高の話し方』の続編、『世界最高の雑談力』(東洋経済新報社刊)を6月に上梓。

構成=石井節子 撮影=曽川拓哉

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