Multiverseは6月8日、事業拡大のために2億2000万ドル(約295億円)を調達したことを明らかにした。同社の評価額は17億ドルとされた。
欧米でIT人材が不足する中、Multiverseには英国と米国で約8800人の実習生が登録しており、コーディングやデータ分析、デジタル・マーケティングなどのプログラムを受講している。同社は、昨年米国に参入し、既にベライゾンやシスコ、Boxなどの企業が同社のサービスを利用している。企業は、有給の実地訓練と実務経験を組み合わせた1年間のプログラムを通じて採用候補者をトレーニングする。
Multiverseは、新たに調達した資金を用いて、米国事業を拡大させる計画だ。今回実施したシリーズDラウンドは、StepStone Groupのほか、既存株主であるLightspeed Venture Partners、General Catalystらが共同で主導した。
米国では、バイデン大統領が見習い職業訓練制度を強化するため、1億1300万ドルを投じる考えを5月に示しており、Multiverseにとって追い風となっている。従来の見習い職業訓練制度は、建設業などのブルーカラーの職業を対象としてきたが、最近では大卒でない求職者にテクノロジー職や金融業への道を開いている。
「現状では、大学の学位を持たない数多くの優秀な人材が切り捨てられている。今回調達した資金で、学位を持たない人やスキルアップが必要な人に技術職への道を開く活動を強化し、将来のリーダーを多様化させていきたい」とMultiverseの創業者でCEOのブレアは述べている。
Multiverseは、もともとWhiteHatという社名だったが、昨年リブランディングを行った。同社によると、卒業生の56%が有色人種で、半数以上が女性だという。このことは、ダイバーシティの問題に取り組むシリコンバレー企業にとっても朗報となるだろう。