米住宅ローン金利が6.2%突破、金融危機以来の高い水準に

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米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利上げに踏み切る中、今週は住宅ローン金利も急上昇した。30年固定の住宅ローンの平均金利が、2008年以来の高水準に達したことで、住宅市場には警告のサインが灯り、専門家は経済全体に影響が広がると警鐘を鳴らしている。

人気の高い30年固定の住宅ローン金利の平均は1週間前に約5.5%だったが、今週は6.2%を上回り、2008年の金融危機以来の高い水準となっている。

金利の上昇と景気後退への懸念の高まりの中で、中古住宅の販売件数と住宅ローン申し込み件数は共に打撃を受けた。ゴールドマン・サックスのストラテジストによると、新規の30年固定型住宅ローンの月々の支払い額の中央値は、昨年から50%以上も上昇したという。

現在の住宅バブルは「米国経済の側面に魚雷を打ち込む可能性のあるアキレス腱だ」と、インベステック・リサーチの社長のジェームス・スタックは述べ、住宅建設業者が販売見通しを引き下げ、見込み客数の減少が続いていることを指摘した。

全米ホームビルダー協会(NAHB)が15日に発表した新たなデータによると、インフレの高まりと金利の上昇によって住宅購入者が減少する中、建設業者の販売見通し指数は6カ月連続で低下し、過去2年間で最低の水準に落ち込んでいる。

一方、購買見込み客指数は2020年6月以来の低水準となり、NAHBのジェリー・コンター会長によると、購入希望者は「住宅の値ごろ感の低下」によって大幅に減少したという。

さらに、住宅ローン銀行協会が15日発表したデータによると、記録的な住宅在庫の少なさや、価格の上昇、金利の上昇による需要の減少で、住宅購入の申し込み件数は昨年から15%減少した。

「住宅ローンの申請件数はすでに前年比で2桁減となっており、中古住宅の販売件数も今後数カ月はこれに続くと思われる。住宅ローン金利は、今後もFRBのポリシーやインフレの見通しに応じて変動し続けるだろう」と、不動産大手ケラー・ウィリアムズのアナリストのRuben Gonzalezは述べている。

インフレの封じ込めを急ぐ米連邦準備制度理事会(FRB)が15日に、過去28年間で最大となる0.75%の利上げを実施したことで、住宅価格は著しく割高になった。「現在高騰している住宅市場は今後冷え込み、住宅価格の下落が予想される」と、ムーディーズのチーフエコノミストのマーク・ザンディは述べた。

ゴールドマンのストラテジストによると、住宅ローン金利の追加の引き上げは、住宅市場の「下振れリスク」を増幅するだけで、経済全般に重大な影響を及ぼす可能性があるという。

編集=上田裕資

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