MEET YOUR ART FESTIVAL 2022「New Soil」は、日本のアート界の福音となるか 代表・加藤信介がこのフェスに込めた思い


音楽業界とアート業界の違いを見たときに、音楽業界は各種メディアやプラットフォーム、マーケティング手法やツールは多くの蓄積がある一方、アート業界ではメディアを含めたアーティストの出目が圧倒的に少ないと認識しています。

そこで、若いアーティストの人となりを知ったり、作品の中身をちゃんと掘り下げられる動画メディアとして「MEET YOUR ART」を立ち上げ、ECサイトを併設することでこれまでアートを購入したことがない層に対しても、アート作品の購入体験ができるチャンネルになればいいと考えたのです。

── 動画メディア「MEET YOUR ART」開設から1年半を経て、今回リアルイベントである「MEET YOUR ART FES 2022 “New Soil”」が開催されました。

アートエキシビジョンやアーティストと対話したうえで作品を購入できるアートフェアをはじめ、音楽ライブステージやトークセッション、ファッションやライフスタイル、グッズやフードといった店舗出展といった「国内最大級のアートとカルチャーの祭典」となったわけですが、リアルイベントを開催した経緯についてお教えください。


やはりコミュニティを醸成していくためにリアルイベントは重要な機会でしたし、もともとアーティストの人間性や活動のコンセプトを理解してもらううえでは直接的な対話が生まれるリアルな場が必要だと考えていました。なので、プロジェクト開始時からミックスカルチャーでリアルイベントを開催するというのはターゲットとして設けていたのです。

ただ、僕らがいきなりアート事業に参入して「リアルイベントを開催する」といっても、アーティストやギャラリーの方々に参加してもらうのは難しい。そこで、先立ってアートメディアを1年以上運営することで、プロジェクトのブランディングとアート業界の方たちとの間に関係性を築いていきました。

これらを経て、アーティストやギャラリーの皆さんに一定賛同してもらえるようなフェスティバルをつくれるフェーズが来たと思い、このタイミングでの開催に至りました。

「MEET YOUR ART」立ち上げ時から、既存のアート業界と寄り添いながらも、僕たちならではのやり方で新しい価値をつくっていく、ということを前提としてプロジェクトを進めてきました。

僕らならではの価値創出のあり方というのは常に考えていて、既存のアートフェアや個展と同じようなイベントでは、アーティストやギャラリーからしてもおそらくあまり出展する意味がないわけです。ですから、恵比寿ガーデンプレイスという場所をジャックして、アートを中心として音楽やライフスタイル、ファッションやフードといったカルチャーがクロスオーバーする場所として立ち上げました。

アート以外のカルチャーを目当てで来る人たちは、言うなればカルチャーとしてのアートに隣接している人たちのはずで、そういった人たちがたまたまアートフェアに立ち寄るという導線をつなげることで、アーティストやギャラリーの方にとって新しいユーザーとの接点が生まれる場をつくりたいと考えたのです。

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山峰潤也がキュレーションを務めたART EXHIBITIONには、篠田太郎//栗林隆/大巻伸嗣/宮永愛子/鈴木ヒラク/毛利悠子/AKI INOMATA/佐々木類が展示を行った。
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text by Michi Sugawara|photographs by Kayo Igarashi|edit by Yasumasa Akashi

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