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2022.07.01 12:30

進捗状況まで明文化 カナダグースの「サステナビリティインパクト戦略」


具体的な目標設定により社員のモチベーションを高めていく


カナダグースのサスティナビリティに対するメッセージの一つに「KEEP THE PLANET COLD AND THE PEOPLE ON IT WARM(地球を冷たく、住む人々を暖かく)」がある。

2019年に「サステナビリティインパクト戦略」を開始、社内にグローバルサステナビリティワーキンググループを立ち上げサスティナブルの活動やESGレポートの作成などを推進している。

カナダグースのレポートは、目標が具体的かつ細かい。目標達成の進捗状況もパーセンテージで明確に示している。「〇〇の削減を目指します」や、「××を積極的に推進します」といった曖昧な表現ではなく、期限を定め、結果をわかるようにしている。

「素材」「製造とオペレーション」「人々と地域社会」「責任ある企業活動」といったカテゴリー4種に目標は全21項目。

「素材」については8項目あり「パッケージングをよりサスティナブルなソリューションへ移行する」「私たちが所有または管理する全ての施設において、シュリンクラップなどリサイクルできない使い捨てのプラスチックを排除する」などがあり、さらに進捗状況は59%など具体的に数値化。できなかったものは、なぜできなかったのかも説明している。

なぜここまで細かい目標設定や進捗状況にしたのかを聞くと、「これがエネルギーの素となり、モチベーションになっているから」だという。

「全社員がミッションに共感、取り組みに賛同し、さまざまな部署からデータを集めています。サステナビリティインパクト戦略を始めたことにより社員のモラルが高まりました。行動に移す前、レポートを作成する前より、会社全体のカルチャーがより強くなりました」

具体的な目標、期限、そして進捗状況を明文化することで、地球のために自分たちで何ができるのかを考えるきっかけとなり、社員の一人一人まで浸透した結果、モチベーションへとつながっていったと考えられる。

「北極圏で生まれたブランドとして、サスティナビリティは私たちのDNAの一部となっています。私たちは北極圏で何千年も暮らしてきた人々から、責任を持って資源を利用し、新しい環境に適応し、コミュニティとしてお互いをサポートすることの意味を学んできました。この土地は、私たち全てが自然の一部であり、自然は私たちの一部であることを常に思い出させてくれます。」
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Text by 石澤理香子

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