チップ習慣の増減に関係しているのは、経済状況や、米国における成人の金銭的状況だけなのだろうか?
「チップ習慣が収入や経済状況に影響されるのは確かだが、他の要因も働いている」とロスマンは指摘する。「たとえば、主に人手不足から、レストランのサービスの質が低下しているとの報告が多く寄せられている。それが、チップの減少につながっている可能性もある」
ロスマンは、若年成人の大多数について次のように述べている。「彼らはチップに関して、社会正義という視点からの見解を持っており、企業がスタッフの給与を減らし、その埋め合わせを顧客に頼ってすませるのはフェアではないと考えている」
若年成人、とりわけ男性は、「チップにおける金払いのよさと悪さが極端」だとロスマンは述べている。「チップを払わないことが極めて多いが、払うときには、平均すると比較的高い額を出す。興味深い矛盾だ」
Z世代とミレニアル世代がチップを払う可能性が高くなるのは、請求書において、チップのおすすめ額があらかじめ提示されている場合だとロスマンは述べている。
「ずっと以前から、若い人はあまりチップを払わないという特徴があった。というのも、若者はあまりお金がなく、社会規範もそれほど教え込まれていないからだ」とロスマンは続けた。「歴史的に見ても、年齢が上になるにつれて、より多くチップを払うようになる」
もうひとつ要因がある。現金の使用が減ったことだ。
「チップの多くは、いまでも現金で支払われる。車を駐車場に停めてくれたり、バッグを運んでくれたりした人に数ドルを手渡すような場合は、とくにそうだ」とロスマンは指摘する。「現金をあまり持ち歩かなくなっている現状は、そうした人にとっては打撃だろう。それに比べれば、その他のサービス業の従業員は、クレジットカードやデビットカード経由でチップをもらいやすい」
チップの授受は「極めて複雑な問題だ」とロスマンは結論づけている。「誰に、どれくらいチップを払うべきかについて、ほとんどの人は困惑している」