パナソニックホールディングスを持株会社として、その傘下に、事業分野ごとに独立した8つの会社が設置される形となった。その中でも、家電や電気設備などくらしに関わる事業を集結したのが「パナソニック株式会社」である。
5月に発表された2021年度決算によると、この新しい「パナソニック株式会社」の売上高は、前年比3%増の3兆6476億円に落ち着いた。グループHD全体では前年比10.3%増の7兆3887億円まで伸びたが、くらし事業は原材料価格高騰の影響などを受けて足踏みした。
こうした状況下で、「新パナソニック」はいかに成長していくのか。
若者の「パナソニック離れ」に危機感
「パナソニックは今、お客さまにとって必要とされるブランドではなくなってきているのではないか。そうした危機感が大きくなっています」
こう語るのは、パナソニックでブランド戦略などを手掛ける戦略本部CCXO(Chief Customer Experience Officer)チームの足立昭博。若年層を中心にブランドの求心力が弱まり、「パナソニック離れ」が進んでいることが、今後成長におけるボトルネックになっているという。
戦略本部CCXOチームの足立昭博
そこで足立は、品田正弘CEOのもとで、ブランドイメージの「変革」に着手した。4月28日には、アクションワードとして「Make New」の策定を発表。「お客さまの目線で今後の暮らしの変化に対応した価値を提供し、共感を得ていく」という意志を表示した。
「お客さまの“未来の暮らし”や“価値観の変化”を見据えることができていたら、コロナ禍でももっと柔軟に対応できていたはず。その反省を活かして『Make New』という言葉を選びました。新たなアクションワードのもとで、社員一人ひとりに先を見据える先見性を意識してもらいたいと考えています」
未来の暮らしの“当たり前を考える
ロゴデザインでは、「Make New」の後にホワイトブランクを設けた。社員一人ひとりがそれぞれの“志”を書くスペースだ。
例えば今年の新入社員からは、「Make New “value”」「Make New “standard”」「Make New ”shine“」といったワードが挙がったという。
「これまで培ってきた技術に誇りを持ち、お客さまの新しい暮らしをつくっていくことこそが、我々ができる最も大きな社会への貢献だと思います。生まれ変わったパナソニックで、未来の暮らしの“当たり前”となるような、新しい価値を届けていきたいです」