米国ではグーグルはもう死んでいる? SEOは検索業界をどう「蝕む」か

Prasert Prapanoppasin/Getty Images


「グーグルはもう死んだ」と考えるのは筆者ひとりではない。以下、識者たちのコメントを引用しよう。

ダニエル・グロス(米国のニュース週刊誌「ニューズウィーク」経済エディター/ビジネス・コラムニスト)


2000年にグーグルが普及した理由は、ハッカーたちがライコスやエキサイトよりグーグルのほうが優れていると気づいたからだが、いまそれと同じことが起きている。初期から利用していた人々が、いまはもうグーグルを利用しなくなっている。

マイケル・セイベル(米国のインキュベーター「Y Combinator」CEO)


最近ちょっとした医療問題のおかげでグーグル検索の利用をやめなければならないと確信できた。グーグルはもはや、数多くの重要な分野で質の高い結果を提供できていない。

今日は健康、商品レビュー、レシピの検索をしたが、検索結果の上位は釣りネタやくだらない広告ばかりだった。そういう事例はほかにもたくさんあるにちがいない。

ポール・グレアム(Lispプログラマー)


これは単にグーグル側だけの問題ではなく、グーグルを倒して取って代わろうとする者の策略によるものかもしれない。スタートアップ企業はまずニッチな市場を攻める。SEOのせいでスパムだらけになった分野に、特化した検索エンジンの立ち上げはうってつけではないか?


──さらに、「Ask HN」(検索エンジンAlgoriaを用いたQ&Aタイプの検索サイト。エンジニア対応、技術系トピックス専門)で、「グーグル検索は定量評価でも悪化しているか?」と入れて検索してみた結果の回答が以下である。

「検索結果はつねに“精選”され、全検索の80%を占める一般的な内容については適切な検索結果を提供するが、一方で技術関連やあいまいな検索については検索結果が悪化している。無理矢理当てはめはめられた同義語も、「ほかの人はこんなことも検索しています」に表示される内容も役に立たないどころか、あまりに関連がなさすぎて腹立たしくなるほどだ。

検索結果の最初の1、2ページはまだしも、その先はもっとひどい有様で、検索内容とはまったく無関係な(そもそも検索したフレーズさえ含まれていない)結果の羅列になっている。おそらくYouTubeの検索結果に用いられているのと同じ多腕バンディットと呼ばれる最適化の仕組みを試行しているか、すでに実装していて、検索語とは無関係にただ人気のあるページを表示して、ユーザーにクリックするよう仕向けているのだろう」
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翻訳・編集=北綾子/S.K.Y.パブリッシング・石井節子

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