こうした背景から引く手あまたなのが、アクセンチュアのビジネス コンサルティング本部AIグループ。クライアントの課題解決はもちろん、「イノベーティブな事例を生み出して社会に発信する」ことも使命としている。学術界やテクノロジーをリードする企業100社以上と連携して、先進プロジェクトを推進中だ。
「社会変革に携わりたい」との思いで入社したデータサイエンティストの木本真由美と、「事業会社では成し遂げられなかったスケールの変革を実現するため」に入社したAIアーキテクトの勝田江朗は、ヘルスケア領域のプロジェクトに参画して「医療×AI」の可能性を探っている。
アクセンチュアのリソースを最大限に活用して、AIの社会実装に挑む醍醐味とは。
医療機関と生活習慣病リスクをAIで予測し、予防医療に貢献
AIグループが支援するヘルスケア領域のプロジェクトは、医療機関・製薬会社・大学など多数のステークホルダーを巻き込んで展開される。
データサイエンティストの木本は、クライアントの新規事業立上げを支援する中で、コンシューマー向けヘルスケアアプリの企画・開発に携わり、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)の活用についてクライアントから相談を受けた。
当時、AIグループでは、2021年2月から国立国際医療研究センター(以下NCGM)と約12万件の健康診断データを基に、生活習慣病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症)の将来リスクを確率として提示する、解釈性の高い人工知能(AI)モデルの構築を目指し、共同研究を実施していた(※1)。
そして、NCGMと共同開発したアルゴリズムをクライアント企業のヘルスケアアプリへ予測モデルとして組み込み、広くユーザーへも届けるスキーム構築を実現した。
「研究機関と我々企業とで仕事の進め方やスピード感が異なることは、多々あります。そうした中、お互いを理解・尊重した信頼関係を構築できるかが、一番重要だと考えています。
今回は、NCGMの先生方と我々とで『予防医療に貢献できるAIを開発したい』という思いが一致していたこと、根気強く議論を重ねていったことにより、信頼関係を構築できました。互いに納得のいくコラボレーションができたと感じています」(木本)
一方、AIアーキテクトの勝田は、腎移植後のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に向けて、東京女子医科大学との腎移植における人工知能(AI)活用の可能性についての共同研究に携わっている(※2)。
同研究は、AIで腎移植の検査データから拒絶反応や副作用を予測し、最適なドナーと移植希望者との組み合わせや、薬剤の投与量の調整に生かすというものだ。
「スケールの大きなプロジェクトであるため、医療機関側にメリットがあるだけでは、ビジネスには繋がりません。製薬業界などとどのように連携できるか、を試行錯誤している最中です。
AIグループが所属するビジネス コンサルティング本部内には、業界特化型のチームがあります。中でも製薬企業を担当するチームの意見を聞きながら、“三方良し”のスキーム構築を進めています」(勝田)
ビジネス コンサルティング本部 AIグループ マネジャー 勝田江朗
異なるバックグラウンド。だから学び合い、助け合える
データサイエンティストの木本は、AI導入に必要となるデータの調査や活用検討、AIモデルの構築を担う。一方、AIアーキテクトの勝田は、AIモデルを汎用化してビジネスをスケールさせるために、システムに組み込んだり運用しやすい体制を作ったりする役割だ。
同一プロジェクトでもタッグを組む2人だが、バックグラウンドはまったく異なる。
木本は、2012年に新卒でアクセンチュアに入社。大学時代に統計を勉強して、「データ活用によって企業・行政の意思決定を支援し、社会に貢献したい」という志を持っていた。
就職活動で、年齢の近いアクセンチュアの女性社員が、重要なポジションに就いて生き生きと働く姿にも惹かれた。当時、木本は20代。結婚・出産などのライフイベントを意識するようになる中で、成長スピードの速い企業で働きたいと考えていた。そんな木本にとって、アクセンチュアは理想的な環境だった。
一方、2021年に中途入社した勝田。前職は国内大手のITベンダーで、電子カルテなどの解析に従事していた。
様々なプロジェクトに参画する中で、ベンダーゆえの壁にぶつかる。
「どうしても提案が自社のプロダクトありきになってしまうのです。また、プロジェクト単品の成功だけで終わってしまうことも、もどかしくて。
日本の医療は様々な課題を抱えており、解決には日本の医療の在り方を変える必要があります。そのためには行政や企業との連携が可能な環境に身を置き、課題に向き合いたいと思いました。
最終的には、医療費の削減に貢献できるような仕事がしたい。そのように考え、アクセンチュアへの転職を決めました」(勝田)
異なるバックグラウンドの持ち主だからこそ、学び合えることもある。木本は、勝田の専門性に助けられているという。
「勝田さんからはいつも、医療機関でのデータ活用の実態やビジネスへの活用余地についてレクチャーをもらい、知見を広げています」(木本)
勝田も、「木本さんはロールモデルだ」と話す。AIグループが担当するプロジェクトでは、医療機関や大学、企業間を繋ぐ役割がアクセンチュアに問われるが、その調整力を木本から学んでいるからだ。
「ステークホルダーに対して、連携によるメリットやどのような立て付けがベストかを提案したりしなければなりません。相手に対して、ロジカルに働き掛ける姿勢は、とても参考になります」(勝田)
1歳児の子育てと仕事の両立に奮闘する木本のエピソードからも、サポートし合う関係が垣間見えた。
「勝田さんにも、4歳のお子さんがいるので、子育ての悩みもよく相談します。勝田さんを含めたプロジェクトメンバーが、一緒に子供の成長を見守ってくれて、相談しやすい雰囲気があります。きつい時には自分からアラートを出し、余裕がある時には誰かのサポートに回る、そういう働き方ができるようになりました」(木本)
時には弱音も吐き、補い合う。AIグループに集うメンバーのバックグラウンドは様々だが、サポーティブな姿勢は共通している。
ビジネス コンサルティング本部 AIグループ シニア・マネジャー木本 真由美
End to Endの支援──それがコンサルティングファームで働く魅力
データサイエンティストやAIアーキテクトは人気の職種として名高い。ITベンダーや事業会社など、活躍できるフィールドは他にもある。
「あえてコンサルティングファームで働く魅力はどこにあるのか」と問うと、一番に挙がったのは解決を支援できる領域の広さだった。
「データサイエンスや分析が生業の企業では、お客様から依頼されたピンポイントな課題解決への取り組みがメインとなります。
一方、アクセンチュアは総合コンサルティングファームであり、End to Endの支援ができる。そのためデータサイエンスやAIを、戦略策定からシステム実装まで、幅広い事業プロセスで活かした支援できる点が魅力ではないでしょうか」(木本)
クライアント企業だけではない。社会に大きなインパクトを与えやすい土壌もある。各業界・領域のプレーヤーを繋ぎ、エコシステムを作るためのネットワークを保有しているからだ。国に提言をする役割を担うチームもある。
転職してきた勝田は、アクセンチュアの特性をどのように捉えているのだろうか。
「特定のプロダクトを活用するといった縛りがなく、無色でフラットなところがいいですよね。大学連携なども活発なので、先進的な技術も組み込みやすい。多分野のプロフェッショナル揃いですし、グループ横断でのナレッジ共有が盛んなところも魅力です」(勝田)
ワンチームとなって協力する姿勢が染み付いた企業風土も、アクセンチュアの強みなのだ。
医療が、社会が変わった──そう誰もが実感できるように
「長寿化の進む日本だからこそ、ヘルスケア領域における先進事例をたくさん発信していきたいです」(木本)
そう意気込む木本は、勝田とともに製薬会社の治験フェーズ改善プロジェクトに参画している。
製薬会社には、薬を世に出す前に必要な治験対象者のリクルーティングやモニタリングコストが膨大だという課題がある。
そこで、AIやデータを活用することでコストを削減できるよう、治験の効率化に向けて研究を推進中。順調に実現できれば、短いリードタイムで高品質の新薬を出すことが可能になる。道半ばだが、業界の常識を大きく変えようとしているプロジェクトには、やりがいに満ちている。
「少子高齢化に伴い、医療費の増大が続いています。しかし、電子カルテなどのデータを有効活用できれば、医療の効率化や医療費削減が進むと言われていて。結果的に、救える命も増えるはずです。
社会貢献の視点を持ってプロジェクトに臨みたいですし、AIを活用して『医療の在り方やヘルスケアの環境が変わったよね』と誰もが実感できる社会を作ることが理想ですね」(勝田)
AIはもっと社会に貢献できる。AIで社会をより良く変えられる。
そう強く信じるメンバーが揃っており、潤沢なアセットを活用しながら思いを形にできる場所。それが、アクセンチュアのAIグループなのだ。
※1 アクセンチュアと国立国際医療研究センター、生活習慣病リスクのAI予測モデル構築に向け共同研究を開始:
https://newsroom.accenture.jp/jp/news/release-20210212.htm(2021年2月15日)
※2 アクセンチュアと東京女子医大、腎移植治療におけるAI活用の可能性について共同研究を開始:
https://newsroom.accenture.jp/jp/news/release-20201105.htm(2020年11月5日)