ビジネス

2022.06.05

アスリートが発揮するキャプテンシーが、ビジネスと共通する理由

監督ではない立場でチームを牽引するのがキャプテン/Getty images Chris Ricco - FIFA


チームを構成するメンバー一人ひとりが自らの行動を省みたとき「この仕事のゴールが◯◯につながっている」ことを実感したり、重要な決断を迫られた際の拠り所にしたりできる確固たる指針を見つけるためにも、このプロセスを省くことはできません。

その際、議論の場に上下関係を持ち込み、相手の主張や考えを頭ごなしに否定するような振る舞い、言動は厳に慎むべきです。ビジョンもパーパスもあくまでも対等な関係であることを前提とした話し合いの中からしか見つけられないからです。

また、「ビジョン:時価総額100億円企業を目指す」「パーパス:毎月最低10社新規開拓を継続する営業部隊であり続ける」というような経営数値の設定も共感を得ることを難しくします。極論すれば、会社の売上や利益に対して当事者意識を持てるのは経営者だけだからです。いくら具体的でも誰もが心から信じられる内容を模索すべきでしょう。

チームを正しい方向に導くためにプレーイングマネージャーに求められるのは、ゲームを動かし、結果を出すことです。それが日々高いレベルで求められているスポーツチームのリーダーシップには、たくさんのヒントがつまっています。ぜひ皆さんの視点で、トップアスリートからリーダーシップの要諦を抽出し、自身のビジネスに生かしていただければと思います。


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中村健太郎◎アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 通信・メディア・ハイテク アジア太平洋・アフリカ・中東・トルコ地区統括 兼 航空飛行・防衛産業 日本統括 マネジング・ディレクター。フューチャーアーキテクト、ローランド・ベルガー、そしてボストンコンサルティンググループを経て、2016年にアクセンチュアへ参画。全社成長戦略、新規事業創造、デジタル、組織・人材戦略、M&A戦略、等の領域において、幅広い業界のコンサルティングに従事。

文=中村健太郎(アクセンチュア)

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