ビジネス

2022.05.30 20:00

ビジネスを成長させるために必要な3つのストーリー


実際には、ストーリーはもう一つあるとワスマンは言う。それは、「会社の独自性は何か」だ。

要するに、自分たちが唯一無二な存在であるという根拠を語るストーリーだ。そのなかでは、カスタマーエクスペリエンスの素晴らしさや、競争をものともしない強さなどのほか、現金を生んでいることをバランスシートで示し、従業員が当事者意識をもって働いていることが語られる。そして、経営プロセスと今後の計画を構築するための実際的に役立つ戦略が存在することを物語る。

「独自性を持った企業になるまでには、試行と苦しみが伴う。そのプロセスは、秩序だった状態、混乱、新たな秩序の構築という3段階を経る」とワスマンは言う。「優れた戦略と戦術は成長につながるが、まずい戦略と戦術は死に直結する」

気を付けたいのは、「まずい戦略と優れた戦術」という組み合わせの場合、死期が早まることだ。

ワスマンによれば、企業は必ず、混乱の時期を体験しなければならないという。

「企業が日々を生き残ろうとしていれば、それだけでも十分に大変だ」と、ワスマンは説明する。「秩序が再構築されて機能し始めるまでは、混乱していると感じるだろう。その時期を体験した人はみな、文化とは、古いものが変化するのではなく、新しいものに置き換わるのだ、と確認するだろう」

「努力しないことには価値は生まれない。新しい戦略が経営プロセスを推進し、それが、企業を方向づける目標達成計画を促す。そうした仕組みをうまく機能させるための、ビジネスプロセスとテクノロジーに関する知識が存在する」

然るべきストーリーが完成したら、あと必要なのは時間と努力だ。

うまくいけば、これらのストーリーを統合したストーリーが完成する。独自性があり、忠実な顧客が存在し、予想可能な現金収入があり、才能豊かな人材を引き付け保持できる企業としてのストーリーだ。

「そうしたストーリーを明確に、繰り返し伝えることができるようになるだろう」とワスマンは語った。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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