フィンランドサウナ紀行、2000年続くスモークサウナからの「湖ダイブ」

写真提供:大智由実子

ビジネスパーソンたちの間に「サウナ旋風」が巻き起こる以前、2016年からサウナにはまり始めたある人物がいる。サウナアドバイザーの大智由実子氏だ。

大智氏は、2016年から2019年にかけて世界中のさまざまなサウナを旅した。そしてその際の体験記は2018年からおよそ1年間、『花椿』のウェブで連載された。ここではその『世界サウナ紀行』の転載でお届けする。

(※書かれているのは、その後に起きた世界的なコロナ禍や、空前のサウナブームが起きる前の体験である。それだけに、現在はサービス提供を休止したり、営業形態を大幅に変更した施設もあり得る。そこをご承知おきいただいた上で、「withコロナ」の時代、改めて豊かな「withサウナ」の人生を模索するための情報として、読者にはお楽しみいただければと願う。)


伝統の「スモークサウナ」を体験


前回に引き続き、フィンランドの旅は続きます。

初めてフィンランド・ヘルシンキのパブリックサウナに行き道端で外気浴を体験して気持ちよくなってしまった私は、もう怖いもの無しで「極熱のサウナから極寒の湖までなんでもこい‼️」とだいぶ気が大きくなっていました。

そして次に向かったのが、ヘルシンキに近い郊外・ヴァンターの大自然の中にある、クーシヤルヴィ(Kuusijärvi)というレクリエーション施設。私たちはフィンランド人の友人に車で連れていってもらったのですが、ヘルシンキ中央駅からもバスで30分程で行けます。ここは国立公園のすぐそばにあり、森に囲まれた湖のほとりにある施設で、一番の売りは今では珍しい伝統的なスモークサウナです。

スモークサウナとは、2000年以上も前からあると言われている原始的なサウナで、煙突のないサウナ小屋の中でサウナストーンをのせた薪ストーブに何時間にもわたり、絶えず薪をくべ続け、室内に煙が充満し充分に熱くなったところで部屋のドアを細く開け、そして煙を出しきってようやくサウナに入れるという、とてつもなく時間と労力の要るサウナなのです。

加えてスモークサウナの準備には安全性を考慮したテクニックも必要とされるので、もちろんそこは施設のスタッフの方がやってくれるのですが、手間ひまかけて暖めてくれたスモークサウナに入れるということ自体が、とっても「ありがたや〜」な体験なのです。


写真提供:大智由実子

イチゴハットの紳士と……


さらにドキドキのお楽しみは、サウナ小屋の前に広がる湖へのダイブ!人生初のスモークサウナからの湖ダイブです。

まずクーシヤルヴィに着いたら入館料を支払い、ロッカーで水着に着替え(スモークサウナは男女混浴なので水着着用必須です)、いざサウナへ!ここには普通の電気式のサウナもあるのですが、電気式サウナはフィンランドには数え切れない程あるので(それこそフィンランド全土には300万近くものサウナがあるのです!)そこはすっ飛ばして、お目当てのスモークサウナへ直行。

ドキドキしながらサウナ小屋の重厚感のあるドアを開けると、またもや暗い! 前回のコティハルユよりも暗い! さらに室内はどこもかしこもススで真っ黒! そんでもってものすごく熱い! しかもスモークの香りが強烈! 一瞬パニック状態に陥りそうになりましたが気を落ち着かせ、ようやく目が慣れてきてから周りを見渡すと数人の恰幅のよいオジさまたちが鎮座してらっしゃる。しかも隣に座っているオジさまは頭に可愛らしいイチゴの形のハットをのせている。
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文=大智由実子

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