ライフスタイル

2022.07.16 10:00

フィンランドサウナ紀行、2000年続くスモークサウナからの「湖ダイブ」

写真提供:大智由実子


ちなみにこのハットは「サウナハット」といい、頭部を熱から守るために被るフェルト製のハット。サウナ大国フィンランドではみんなこのサウナハットを被っているのかと思いきや、私がフィンランドで実際に被っている人を見たのはこのスモークサウナだけでした。つまり、ここはそれだけ温度が高いということか。
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特に頭部が寂しくなっているオジさまたちにとって、この極熱のスモークサウナではサウナハットは必需品のようでした。温度計は無かったように思うので正確な温度はわからないけれど、そのオジさまに聞いたところ100℃くらいとのこと……。

人生初の「湖ダイブ」!


室内はとにかく暑い上、オジさまたちがここでもガンガン「ロウリュ」をして湿度も上げてくれるので、入ってから1、2分くらいでもう汗が噴き出してきます。瞬時に身体が熱せられたので外へ出ていざ! 湖ダイブ! ……と思ったのですが、そのときは初冬のフィンランド、湖はまだ凍ってはいないものの、おそるおそるつま先を入れてみたら冷たいのなんの。1回目の挑戦は怖じ気づき、おとなしく小屋の外のベンチに腰掛けて外気浴をしました。

2回目にサウナに入ると、アジア人が珍しいのかイチゴハットのオジさまがやたらと話しかけてきてくれました。フィンランドでのサウナの入り方とか、そんなことをずっとしゃべっていたような気がしますが、こちらは暑くてもう汗ダク。話なんて頭に入ってこない。笑顔で応対していましたが、いよいよ熱さに耐えきれず「ソーリー!」と言って外へ飛び出しました。
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この熱々にグリルされた身体。今なら湖ダイブができる! と思い、一目散に湖へ。でも、いざ飛び込もうとするとかなり勇気が要る。「心臓マヒで死んだらどうしよう…」という思いがよぎり躊躇していると、例のイチゴのオジさまが来て「考えるな!一気に飛び込め!」と、エールを送ってくれるではありませんか。ハシゴを握りしめ思い切って「えいっ!」と肩まで入りました。

でもやっぱり冷たい。あと、底が見えないから怖い。すぐに湖から出て、「よくやった!」と喜ぶイチゴのオジさまとハイタッチをして小屋の外のベンチに座っていると……程なくジワジワと恍惚感が訪れてきました。「私、ついにフィンランドで湖ダイブしたよ!」という満足感も加わり、森林の心地よい風に吹かれながら北島康介ばりに「何も言えねぇ…」とつぶやいたのでした。

実際のところ人生初の湖ダイブは、以前に写真で見たようなカッコいい飛び込みスタイルではなかったけど、サウナビギナーの私にとっては合格点といえるもので、そして手間ひまかけてスモークサウナを準備してくれたスタッフとあのイチゴのオジさまへの感謝の気持ちでいっぱいになったのでした。

Cafe Kuusijärvi

Kuusijärventie 3 01260 Vantaa Finland
TEL:+358 10 322 7090

https://www.cafekuusijarvi.fi/english/


大智由実子◎世界中の様々なサウナを旅するサウナライターとして、花椿webで『世界サウナ紀行』を執筆する他、サウナ施設の広報も務めた後、サウナのみならず銭湯や温泉などお風呂カルチャー全般にも視点を広げ、個性豊かなお風呂を探究して現在に至る。お風呂以外の趣味は昭和の純喫茶とおんぼろ大衆食堂を巡ること。

文=大智由実子

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