マクナマラは7年にわたってターゲットのCIOを務め、米Forbesが2021年にスタートした「CIO Next List」の50人に選出された人物だ。変動する市場環境に迅速に対応できるよう、社内のテクノロジーインフラを徹底的に見直したほか、外部委託されていたテクノロジーチームの多くを社内に呼び戻すなどを行なった。こうした動きも奏功し、ターゲットの売上は、2016年の740億ドルから、2021年の1060億ドルへと増加した。
クレイグの抜擢は、現在ターゲットが取り組んでいる経営陣の大幅刷新の一環だ。他にも、最高マーケティングおよびデジタル責任者のカーラ・シルベスター(Cara Sylvester)が、新ポストである最高ゲストエクスペリエンス責任者に昇進した。新CIOのクレイグは、2007年にターゲットの一員となったシルベスターの直属となる。
ターゲットのブライアン・コーネル会長兼最高経営責任者(CEO)は、こうした人事を発表した同社プレスリリースにおいて次のように述べた。「経営陣の刷新は、1000億ドルを超えるわが社の売上や規模を反映すると同時に、未来に向かう推進力となるものだ」
ターゲット以外の小売企業も、テクノロジーを統括する幹部を異動させ、顧客との関わり方にいっそう注力しようとしている。米ホームセンター大手のホーム・デポは先ごろ、マット・キャリー(Matt Carey)CIOを、CEO直属となる新ポスト、カスタマーエクスペリエンス担当エグゼクティブバイスプレジデントに任命した。
大手コンサルティング会社ガートナーで、小売セクターのテクノロジーを調査するアナリスト、ロバート・エテュ(Robert Hetu)は、「テクノロジーは、カスタマーエクスペリエンスやビジネスにとって必要不可欠だ」と語る。小売企業が、テクノロジーの力でさらなる顧客獲得を目指すと同時に、薄利で知られる業界でコスト削減を実現しようとしていることから、他の企業も同様の動きを見せる可能性があると、エテュは予測する。