さらなる顧客獲得
競争が激化し、経済的先行きの不透明感が増したことで、ターゲットの株価は2021年前半に急落したものの、その後は231ドル近くまで持ち直した状態で2022年に突入した。買い物客への聞き取り調査をまとめた英バークレイズ銀行の最新アナリストリポートは、ターゲットには「来店頻度を上げられる確実なチャンスがある」と結論づけている。
ターゲットがそのチャンスを最大限に活かすためには、新しくCIOとなるクレイグが重要な役割を果たすことになる。ターゲットに入社して以来、マーチャンダイジングオペレーションの責任者を含むさまざまなポストを歴任してきたクレイグ本人へのインタビューは叶わなかった。しかし、同社サイトに掲載された、CIO就任にあたっての質疑応答のなかでクレイグは、多方面にわたる革新的な取り組みを今後も続けていくと約束している。また、マクナマラの取り組みを継続して、社内のデモ・デイ(ピッチイベント)やハッカソンなどによって、テクノロジー主導の新しいアイデアに焦点をあて、挑んでいきたいと述べている。
クレイグは、米海軍に在籍していたときにプログラミングを独習したという。今後は、既存のテクノロジーチームのスキルを磨くトレーニングにより力を入れていくほか、テクノロジー分野でのキャリアを目指す、過小評価されている集団(underrepresented group:女性やマイノリティなどを指す)に属する学生たちへの支援活動をいっそう充実させたいと述べている。
クレイグは、ターゲットのウェブサイトでこう語っている。「私が米海軍に入隊したのは19歳だった。おかげで、人生の早い段階で、重要な視点を身に着けることができた。水兵仲間と友情を育んだことで、チームワークの重要性と心強さを学んだ」
クレイグが、前任者と同じくらいに優れたITチームの舵取り役であることを、ターゲットの投資家たちは期待しているだろう。