Kumoは4月7日、シリーズAラウンドで1850万ドル(約23億円)を調達したことを公表した。評価額は1億ドルだった。同社は、大量のデータを保存・活用するためのクラウドコンピューティングツール群「モダンデータスタック」向けのAI予測で最適なソフトウェアになることを目指している。
このラウンドはセコイア・キャピタルが主導し、他にRon ConwayのSVエンジェルと、彼の息子であるRonny Conwayが運営するVCファンド、Aキャピタルが参加した。
カリフォルニア州マウンテンビューに本拠を置くKumoは、ピンタレストとエアビーアンドビーでCTOを務めたVanja Josifovskiと、元リンクトインのエンジニアのHema Raghavan、スタンフォード大学教授のJure Leskovecらが設立した企業だ。同社の事業は、Leskovec率いるスタンフォード大学のチームがドイツのドルトムント大学と5年に渡って行った共同研究がベースになっている。
その研究内容は、「グラフ・ニューラル・ネットワーク」と呼ばれる、データを複雑なグラフ・ネットワークに見立てて機械学習を行う新興技術に特化したものだ。彼らはこのネットワークの学習のためのオープンソースツール「PyG」を開発し、5年前にリリースした。
Kumoの創業者メンバーらは、ピンタレストやリンクトインでこの技術を導入した。同社のCEOのJosifovskiは、ディープラーニングが音声認識に革命をもたらしたように、グラフ・ニューラル・ネットワークは、機械学習に革命をもたらすと述べている。
大手テック企業は、こうしたツールを社内で開発することができるが、ほとんどの企業はそのようなリソースを保有していない。しかし、PyGの技術を基盤としたKumoのソフトウェアを使えば、ユーザーはビジネスデータを使った複雑な予測モデルをより簡単に作ることができる。
「サービスの利用開始から30日で解約した顧客の数は把握できるが、Kumoは今後30日で解約する顧客数を予測することを目指している」とJosifovskiは話す。Kumoのソフトウェアは、主にデータアナリストやデータサイエンティスト向けに設計されているが、専門知識を持たない従業員でも使えるという。