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2022.05.14 12:30

ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008、その個性を探るガストロノミー体験

ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008 お披露目イベント

「2008年」と聞くだけで、シャンパーニュラヴァーの誰しもが心躍らせる。生産者やスペシャリストはこの年を「世紀のヴィンテージ」と評しており、2008年ならではの凝縮したエネルギーと類稀なるポテンシャルを持ったシャンパーニュは、既に多くの愛好家を魅了してやまない。

この春、その年を掲げる「ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008」が満を持してリリースされた。奇跡の年が生んだ極上のブドウが、巧みなアッサンブラージュと長きに渡る瓶内熟成により、どのような変化を遂げているのか。はやる気持ちを抑えながら、お披露目会場となったコンラッド東京へ足を運んだ。

ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008

「THE THRILL OF THE UNKNOWN」と題された今回のイベントは、単なるテイスティング会にとどまらない。ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008の世界観を表現した唯一無二のエンターテイメントとして提案され、ゲストは会場に足を踏み入れた瞬間から、めくるめくロゼの世界へと引き込まれてゆく。

注目はなんといっても、今年3月に発表された「アジアのベストレストラン50」で3位を獲得した「フロリレージュ」川手寛康シェフによるマリアージュの提案だ。


川手寛康シェフ(左)

その前に、まずは単体でドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008をテイスティングしてみる。その特徴を端的に表現すると、ミステリアスという言葉が近いのかもしれない。ラズベリーやアセロラ、ヴァイオレットやグリーンハーブ、フルーツとシナモンをたっぷり含んだパンデピスやピンクペッパー、凛としたミネラルのニュアンスなど、香りの要素が実に豊富で複雑性に富んでいる。

成熟したブドウの個性を素直に表現したピュアな側面を持っているかと思えば、惹きつけて離さない蠱惑的な一面も見え隠れし、大らかさと緊張感、力強さと繊細さ、エキゾチシズムと郷愁が絶妙なバランスで共存している。



このような、シャンパーニュが見せる変幻自在な表情を5つのフェーズに分け、川手シェフの料理とのペアリングによりそれぞれの個性を引き出すことが今回のテーマだ。ドン ペリニヨン ロゼ 2008のミステリーを紐解く、ガストロノミックな挑戦「5 PHASES」をここにご紹介したい。

CHIAROSCURO/光と闇のコントラスト 帆立




ドン ペリニヨン ロゼを構成する白ブドウ シャルドネのライトな側面と、黒ブドウ ピノ・ノワールのダークな側面の両者にフォーカスしたアプローチ。

フレッシュな帆立がシャルドネの清々しさに寄り添うと同時に、海苔の繊細な磯の風味がピノ・ノワールの奥深さを引き出し、美しいコントラストが生み出される。谷崎潤一郎氏の随筆『陰翳礼讃』に謳われる、「光があるからこそ感じることができる闇の美しさ」を実感できた。

UNTAMED&CARNAL/大胆で野性的 ビーフジャーキー




次に登場した料理はまさにワイルド。サステイナビリティを提案する「フロリレージュ」の店舗ではスペシャリテに“経産牛”を取り入れているが、今回はその経産牛がビーフジャーキーとなって登場する。

その凝縮した旨みが、シャンパーニュに内包された凄まじいエネルギーを引き出している。黒トリュフやカブ、フェンネルの花のピクルスがあしらわれることで、単なるパワフルさだけではない複雑性をも保持。添えられた骨髄スープは滋味にあふれ、ドン ペリニヨン ロゼの旨みに寄り添う。
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文=瀬川あずさ

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