この会議はジョン・ケリー元米国務長官のイニシアチブで2014年に米国で初めて開催され、それ以降は毎年各国が持ち回りで開催されてきた。前回はノルウェー、来年はパナマでの開催が予定されている。
実は今回のパラオ大会は当初2020年に予定されていたが、コロナ禍によって約2年間延期され、その間にパラオ政府はトミー・レメンゲサウ大統領の任期満了に伴い、新たにスランゲル・ウィップス大統領政権下となり、紆余曲折を経ての開催となった。
日本政府も約500億円の予算で
大会には米国からケリー元国務長官がジョー・バイデン大統領の特使として参加、EU(欧州委員会)のシャルリーナ・ヴィッチェバ海洋担当大臣をはじめ各国の大統領や大臣など70カ国700名を超える国々の閣僚、政府、NGO、アカデミアなどが集結した。英国チャールズ皇太子やバイデン大統領、岸田文雄総理はビデオメッセージでの参加となった。
大会のテーマには、「海洋と気候変動」「海洋汚染」「海洋保護区」「海洋安全保障」「ブルーエコノミー(海洋経済)」「持続可能な漁業」という6つが掲げられた。
なかでも「海洋と気候変動」についてと「持続可能な漁業」に深刻な打撃を与えているIUU漁業(Illegal、Unreported、Unregulated=違法・無報告・無規制漁業)の撲滅についての議論が目立った。またケリー特使は次回のCOPでは、昨年のCOP26での「グラスゴー気候合意」を批准しなかった8カ国が、批准するように全力を挙げたいと訴えた。
6つのプレナリーセッション、22の公式サイドイベントに加え、前夜祭やオープニング、エンディングなどで充実したハイレベルスピーチが展開された。ユースプログラムも整えられ、世界各国から選ばれた約60名の若者が集結し、プログラムに貢献した。
大会では各国、各団体がコミットメントを発表し、翌年その成果を発表することが強く求められた。
米国は110件を超えるコミットメントを発表し、合計 26.4億ドル(約3400億円)の資金提供を約束した。EUは海洋問題対策に10億ユーロ(約1380億円)をコミットし、特に1億ユーロ(約138億円)を持続可能な漁業対策に充当すると発表した。EUのヴィッチェバ海洋担当大臣は、その上にさらに2.7億ユーロ(約372億円)をブルーエコノミーの推進にコミットすると発表した。
日本政府からも内閣府の総合海洋政策推進事務局の吉田幸三次長や佐藤勝参事官らが参加し、プレナリーのメインステージでの登壇はなかったものの、会場の客席側から各国やNGOなどが発表する1分から2分ほどのコミットメントの読み上げに加わった。